湿布

 『ごんべさんの赤ちゃん』という歌、一度は耳にしたことがあると思います。不思議に思ったことはありませんか。風邪をひいたのに、なぜ湿布なんだろう、と。
この歌はもともとアメリカ民謡。南北戦争時代に歌われた「John Brown's Body(ジョン・ブラウンの亡骸)」が原曲です。替え歌がいくつか作られた中で、子どもたちによく歌われていたというのが、「John Brown's Baby」。
歌詞の内容は「ジョン・ブラウンの赤ちゃんが風邪をひいて、camphorated oilを胸に塗ってもらった」というもの。camphorated oilとは、カンフルをテレビン油などに溶かしたもの。おそらく、「ヴィックスベポラッブ」のようなものだと思われます。
この歌が日本に伝わり、John Brownが「ごんべさんに」に、camphorated oilが「湿布」に翻訳されたのでしょうが、こんなところにも、日本人の湿布好きが垣間見えるようです。

日本人にはおなじみの湿布、みなさんはいつ(どのタイミングで)、貼りますか。「肩がぱんぱんに張って苦しいとき」「腰痛がひどくて、我慢できなくなったとき」という人が多いと思います。でも、残念ながら、これでは、湿布の効果を十分に引き出しているとはいえません。
湿布を貼るポイントは、「痛みが軽いときに貼る」こと!
腰痛や肩こりなどの痛みが発生すると、「痛む→筋肉が緊張して固くなる→血管が圧迫される→血行が悪くなる→発痛物質がたまる→さらに痛みが増す→・・・」という「痛みの悪循環」に陥り、慢性化しやすくなってしまいます。こんな状態で湿布を貼っても、効果はいまひとつ。

そこで、先ほどのポイント。痛みが軽いときに貼れば、湿布の効果もあらわれやすく、その結果、「痛みがほとんどない→筋肉が固くならない→よい血行が保たれる→発痛物質もたまらない→痛くない」となるのです。
特におすすめなのが、お風呂上り。血行がよく、痛みもやわらいでいる状態なので、湿布を貼るには絶好のチャンスです(汗をよく拭き、ほてりがしずまってから貼ること)。
打撲や捻挫などの急な痛みの場合は、応急処置としてタオルに包んだ氷、ぬらしたタオルなどで、まずは患部を冷やし(冷やしすぎないように注意)、炎症や腫れ、熱感が少し引いてから湿布を貼るとよいでしょう。
温湿布か冷湿布か、という質問もよく受けますが、基本的には「気持ちのよいほう」を選べば、まず、問題はありません。ただし、貼っていて、かゆみやチクチクする痛みなどを感じたときは、すぐにはがし、ぬるま湯で洗い流すようにして下さい。