大豆イソフラボン

 大豆イソフラボンの女性ホルモン様作用が注目され、更年期障害の緩和や、骨粗鬆症の予防、心筋梗塞など循環器系疾患の予防、抗肥満作用、血中脂質改善作用などを期待して使用されています。もちろん食品ですから、効果が期待できないときは医薬品の使用が勧められます。大豆イソフラボンの、主成分はゲニステイン、ダイゼインなどです。女性ホルモン作用を有するわけですから、乳がんのリスクを増大させる可能性が指摘されており、慎重な対応が必要です。
 しかし、その一方で、大豆は日本人にはなじみ深いものであり、味噌、納豆など様々な食材として利用されてきました。国立がんセンターでの報告では、毎日味噌汁3杯以上飲む人では、(味噌によって異なりますが、大豆イソフラボン量は20~40mgと推測されます。)乳がん発症率が低くなるとされています。
 乳がんのリスクが高まるというのと相反する、このような報告もあります。現在のところ、このどちらかが正しく、どちらかが正しくないといった単純な問題ではありませんから、決められた量を守って服用し、定期的な乳がんの検診をすることが正しい使用ということでしょう。
 ところがこの決められた量というのも、また、問題となっています。食品安全委員会・新開発食品専門調査会のイソフラボン摂取に関しての、基本的考えに関する報告案では、大豆イソフラボンの摂取量の上限値を70~75mgに定め、サプリメントとしての摂取は30mgを上限値に設定してはどうかとされています。豆腐100gに含まれる、大豆イソフラボン量が20mgくらいとされていますから、豆腐一丁300g~400gとすれば、大豆イソフラボン量は、60mg~80mgとなり、上限摂取を超えてしまうことになります。そのため、この上限値は、少なすぎるのではないかと、現在議論されています。これらについての見解が出るまでは、サプリメントとして、独自の判断で使用する場合は、今のところ、30mgを目途にしておくべきでしょう。
 薬との相互作用については、経口避妊薬の作用や、ホルモン治療に影響を与えることがあると考えられますから、その場合の使用は、医師や薬剤師に相談することが大切です。