ナットウキナーゼ

 「サラサラ」といったら、何を思い浮かべますか。
 少し前までなら、ほとんどの人が「髪の毛」とか「水の流れ、小川」とか答えたのではないかと思いますが、最近は「血液」を連想する人が多いのではないでしょうか。

 今や、すっかり定着した「血液サラサラ」という言葉。語感のよさだけでなく、心筋梗塞や脳卒中など、血液の流れが滞って起きる心疾患・脳血管障害が増えていることも、その背景となっているようです。(なお、血液サラサラという表現は科学的ではないという指摘もありますが、ここでは、血液を固まりにくくするという意味合いで使っています)

 イチョウ葉エキス、DHA・EPA(ドコサヘキサエン酸・エイコサペンタエン酸)、ニンニク、タマネギ、クエン酸・・・。健康番組や雑誌などでは、血液をサラサラにするといわれるサプリメントや食品が、次々と紹介されています。ナットウキナーゼもその一つ。これは納豆のねばねばに含まれる酵素で、血栓(血のかたまり)を溶かす作用をもっていることが明らかとなりました。まだ実験の段階ではありますが、その血栓溶解作用には持続性があるともいわれています。

 そのため、血液を固まりにくし、血栓を予防する薬剤(アスピリンやワルファリン、チクロピジンなど)や、上に挙げたサプリメント(イチョウ葉エキスなど)とナットウキナーゼとの併用は、要注意。同じような作用が重なるわけですから、血が出やすくなったり、血が止まりにくくなったりするおそれがあります。併用は避けるようにして下さい。念のため、手術や抜歯の前後の摂取も控えましょう。
血栓を作りにくくする成分には、いろいろなものがあります。のんでいる薬の名前や主な作用、注意事項などをお薬手帳に書き留めて持ち歩くようにすると、便利で、安心です。

 納豆は、昔も今も、からだによい食べ物といわれます。でも、「からだによい」の意味が変わりつつあります。昔は、タンパク質やミネラルを豊富に含んでいるから、というのが主な理由でしたが、それだけではなかったのです。
 納豆に含まれるビタミンKは骨を丈夫にし、ポリグルタミン酸はカルシウムなどのミネラルの吸収を助け、大豆イソフラボンには女性ホルモン様作用が、さらには、ナットウキナーゼが血液をサラサラにする・・・。サプリメントが束になってもかなわないような健康食品ですね。