GABA

 「ストレス社会で闘うあなたに」。こんなキャッチコピーのついた、ある商品が売れています。胃腸薬や栄養ドリンクにありそうなフレーズですが、今、話題になっているのは、チョコレート。「チョコレートを食べたときのほっとする感じ。これは原料のカカオに含まれるGABAによるものではないか」というところから開発した商品、とのことです。

 GABAは、γ(ガンマ)-アミノ酪酸のこと。Gamma-Amino Butyric Acidの頭文字をとってGABA、通称「ギャバ」と呼ばれています。
 私たちの体内、特に脳や脊髄など、神経が関係する部位に多く存在する成分でもあり、GABAが不足すると興奮しやすくなることが知られています。このことから「抑制系神経伝達物質」ともいわれ、イライラをしずめる、気持ちを落ち着ける、不安感をやわらげる、熟睡を促すといったリラクゼーション効果があるのではないかと考えられています。
 ただし、残念ながら、抗不安薬や催眠薬、抗うつ薬などの代わりにはなりません。現在、こうしたお薬で治療を受けている方は、定期的に受診をしながら、今の治療を続けることが大切です。
 GABAはまた、「血圧が高めの方に」と表示された特定保健用食品にも用いられています。血管を収縮させる物質の働きを抑えて、血圧の上昇を防ぐとされ、その作用は比較的おだやかといわれています。
 しかし、すでに高血圧の治療薬をのんでいる人の場合は、薬と特定保健用食品の作用が重なって血圧が下がりすぎたり、血圧のコントロールがうまくいかなくなったりすることも考えられます。サプリメントを試してみたい場合には、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。

 GABAを豊富に含む食品には、発芽玄米、発芽野菜(アルファルファ、ブロッコリースプラウトなど)、ぬか漬け、日本茶などがあります。コレステロールが低下した、肝臓や腎臓の機能が改善したという報告もあるようですが、GABAそのものによる作用なのか、どのようなメカニズムで作用があらわれるのか、まだまだわかっていないことも多いようです。
 あまり期待しすぎず、頼りすぎず。食生活の中に上手に取り入れてみるのがちょうどいいのかもしれません。