キチン、キトサン

 語感のリズムも軽やかなキチン・キトサン。カニやエビといった甲殻類の、固い甲羅の部分に含まれているのがキチン、それを取り出し、工業的に加工したものがキトサンと呼ばれています。キトサン中にもキチンが含まれ、明確に区別するのは難しいこともあり、「キチン・キトサン」と一緒に呼ばれることが多くなっています。

 キチン・キトサンは、水に溶けにくい(不溶性)食物繊維。食べ物の中に含まれる脂肪分や体内の有害物質を包みこんで、からだの外に出す働きがあるのではないかといわれ、ダイエット補助食品として注目されたこともありましたが、残念ながら、その効果を裏づけるデータは乏しかったようです。 しかし、近年、キトサンは、コレステロールの上昇を防ぐとして、「コレステロールが高めの方に」とした特定保健用食品の関与成分として用いられるようになりました。
 これは、キトサンには、胆汁酸(体内で、コレステロールからつくられる)と結合して排泄を促す働きがあることから、血液中のコレステロールが胆汁酸の合成に回され、コレステロール値が上がりにくくなるためではないかと考えられています。
 このようなメカニズムは、医療用医薬品として高コレステロール血症の治療に使われているイオン交換樹脂製剤(コレスチラミン、コレスチミドなど)とよく似ています。
 この薬を服用していると、脂溶性の高い薬剤(抗真菌薬のイトラコナゾールやグリセオフルビンなど)の吸収がされにくくなったり、服用が長くなると、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)が不足したりすることも考えられ、注意が呼びかけられています。キトサンについても、同様の注意が必要といえるでしょう。医薬品を服用中の方は、必ず、医師・薬剤師に相談するようにして下さい。
キチン・キトサンにはグルコサミンも含まれていて、関節の痛みや炎症によいのではないか、といった期待も寄せられています。
 キチン・キトサンの原料として最近は、植物のものもあるようですが、カニに由来しているものも多いので、甲殻類にアレルギーがある人は摂取しないようにしましょう。アレルギーのある方は、サプリメントの表示の確認を忘れずに。