ガルシニア

 やわらかい春風に乗って、服装も薄く、軽やかになる季節。となると、気になるのが、厚いコートに隠れていたおなか、おしり、太もも・・・。「ダイエット」という言葉に、いつも以上に敏感になってしまうのも、春ならでは、なのかもしれません。
 ドラッグストアなどのダイエット食品コーナーでよく見かけるのが、ガルシニア。“燃焼系”のサプリメントとして人気がありますが、最近は、運動時のエネルギー維持、持久力アップといった面でも注目されています。

 ガルシニアは、東南アジアからインドにかけて自生する植物で、正式名はガルシニア・カンボジア。果皮には強い酸味があることから、酸味づけの香辛料として古くから用いられてきました。
 ガルシニアそのものは、マンゴスチン(オトギリソウ科)の仲間なのですが、その酸味成分であるヒドロキシクエン酸(HCA)は、レモンなどの柑橘類に含まれるクエン酸とよく似た構造をもち、味もよく似ているといわれます。
 私たちが食事から摂った糖分は、体内でブドウ糖に分解され、細胞内のクエン酸回路を経てエネルギーに生まれ変わります。しかし、糖分を摂り過ぎたときやエネルギーの消費量が少ないときには、ブドウ糖はクエン酸に変換された後、ある種の酵素の働きを受けて脂肪となり、からだの中に蓄積されていきます。
 しかし、ガルシニア中のHCAは、クエン酸よりもこの酵素と結びつきやすい性質をもっているため、酵素の働きが邪魔されてしまい、その結果、脂肪の合成も抑えられると考えられています。脂肪の合成に使われなかったクエン酸は、グリコーゲンとして蓄えられることから、持久力向上にも役立つのではないかと期待されています。

 体力を落とさずに、ウエイトコントロールをしたい人にはうってつけともいえるガルシニアですが、2002年、厚生労働省から、過剰摂取や継続的な摂取は避けるようにとの通知が出されています。これは、ラットに大量のガルシニアを連続的に摂取させたところ、精巣に影響がみられたとの試験結果に基づくものでした。また、詳細は不明なのですが、解熱鎮痛薬のアスピリンと併用すると、アスピリンの血中濃度が上昇したとの報告もみられます。
 HCAとしての1日の摂取目安量は、500~1500㎎といわれます。ダイエットサプリメントは、あくまでも補助的な手段。頼りすぎず、あてにしすぎず、ほどほどに、というところでしょうか。