ビタミンE

 コエンザイムQ10、ポリフェノール、カテキン、リコペン、ゴマリグナン・・・・。最近人気のサプリメントの数々。個性的な顔ぶれにも見えますが、これらには一つの共通点があります。
 それは、抗酸化作用をもっていること。この作用を“売り”に、次から次へと新たなサプリメントが脚光を浴びていますが、「私の存在も忘れないで」、そんなビタミンEの声も聞えてくるようです。

 そうです、ビタミンEといえば抗酸化作用の本家とも言える存在です。抗酸化作用とは、活性酸素の働きを抑えること。酸素自体は、私たちが生きていく上で不可欠なものなのですが、体内に取り込まれた酸素の一部は、活性酸素に変わります。これはとても活発な物質で、外から入ってきた細菌などを酸化して生体を守るという重要な役割があります。しかし、一方で活性酸素が色々な病気に関与していることも知られてきました。例えば、LDLコレステロールが高いだけでは、動脈硬化を引き起こさないのですが、コレステロールが活性酸素によって酸化されると、変性LDL(過酸化脂質)になる。過酸化脂質(サビのようなもの)という物質が増えて動脈硬化につながっていくのです。この他、正常な細胞のDNAが活性酸素によって傷つけられると、がんなどの病気の原因にもなったりと、過剰に働くのは困ったものなのです。こうした活性酸素の暴走から、私たちのからだを守ってくれる作用、それがビタミンEなどが有している抗酸化作用なのです。
 一方でビタミンEには、血液の流れをよくする働きもあり、医薬品として、腰痛や肩こり、目の疲れ、手足の冷えやしびれ、しもやけなどに広く用いられています。さらには、女性ホルモンの分泌や働きを調整することから、更年期の不快な症状を軽減する効果もあるといわれています。 薬剤との相互作用については、大きな問題となるものは知られていませんが、血液を固まりにくくする作用をもつ薬剤(ワルファリン、アスピリンなど)やサプリメント(DHA・EPA、イチョウ葉エキスなど)との併用では、その作用が強まり、出血しやすくなる、出血が止まりにくくなるといったことが起きることがあるかもしれませんので、念のため、注意して下さい。
 また、高コレステロール血症の治療に用いられる陰イオン交換薬(コレスチラミンなど)と呼ばれる薬剤をのんでいる方では、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンの吸収が妨げられる可能性があります。服用が長期に及び、体調に変化を感じた場合などは医師に相談して下さい。

 ビタミンAなどと同じ脂溶性のビタミンなのですが、摂り過ぎによる副作用は知られていません。だからと言って、たくさん摂っても効果が上がるわけではなく、量が多い場合は吸収されないのではと言われています。それぞれの商品に定められている量は守るようにしましょう。