センナ

 お通じをよくするお茶や民間薬として、日本でも古くから用いられてきたセンナ。原産地は、遠くアフリカ・ナイル川流域。エジプトで使われ始め、11世紀ごろ、ヨーロッパに伝えられて各地に広まりました。センナという名前は、アラビア語で「耳」を意味する「sana」から。センナの莢(さや)が、人の耳に似ているところから命名されたと伝えられています。
 センナは、産地によって大きく2つに分けられます。エジプトやスーダンなどで栽培されるアレクサンドリア・センナと、インド南端のチンネベリ地方で栽培されるチンネベリ・センナ。欧米では主に前者が、日本では主に後者のチンネベリ・センナが用いられています。

 日本では、センナの葉(小葉、葉柄、葉軸)と果実は、「医薬品」に分類されます。そのため、健康茶やサプリメントに使うことができるのは、センナの茎の部分だけ。ところが、効果を上げるためなのか、葉や果実が混ぜたと思われる商品(サプリメント)を見かけることがあります。これは薬事法違反となり、問題となります。

 センナの有効成分・センノシドは、腸内細菌によってレインアントロンと形を変えられ、それが大腸を刺激することによって排便を促します。植物由来の成分というと、作用はおだやかで、副作用も少ないというイメージがあるかもしれませんが、センナの作用は決して弱いものではありません。摂取後、強い腹痛を感じたり、下痢を起こしたりすることもあります。

 センナを長期にわたって大量に摂取すると、激しい下痢や慢性的な下痢の状態を起こすことがあります。このため、体内のカリウムが失われて、筋肉に力が入らなくなったり、脈が不規則になったりすることがあります。このような状態で、ジギタリスなどの強心配糖体や不整脈の治療薬を服用すると、強心作用の増強や薬剤の作用や症状の変動などがみられることもあります。利尿薬のように低カリウム血症を起こしやすい薬剤との併用でも、副作用が起こりやすくなる可能性も考えられます。

 一般にお茶の場合は、含まれるセンノシドの量も少なく、医薬品のような副作用や相互作用の心配は少ないともいわれます。しかし、薬事法違反の商品と知らないで使用していたら医薬品と同じ作用を引きおこす事になります。もちろん、便秘の予防やダイエット目的などで、日常的にセンナ茶を飲むことは避けたほうがよいと思われます。

 ほっそりした手足に、ぺたんこのおなか。ダイエットなど必要もなさそうな若い女性が、センナ茶などの商品を持ってレジに並ばれることが少なくありません。余計なお世話とは思いつつ、声をかけると、決まって返ってくるのが「実は、お肉がついているんですよ~」という答え。中には、「太るのが怖いから」と真剣に答える方もいて、胸が痛みます。実は、売っている側もいろいろ悩んでいたりするのです。困っていることがあったら、いつでも相談して下さいね。