サメ軟骨

 サメはがんにならない、と聞いたことはありませんか。「サメはがんにならない、ということは、サメのからだにガンにならないための“何か”があるはず」。そう考えて、研究に取り組んだ人たちがいます。そのとき、注目したのが、サメの軟骨。サメは全身が軟骨できていることから、そこに秘密があるとにらんだようです。
 しかし、ほどなく、サメもがんになることが判明。サメ軟骨が大腸がんや乳がんなどに効果がないという報告も出されてしまいました。それでも、「初期のがんに対してなら、効果があるかも」などと、今でも模索は続いているそうです。

 サメ軟骨の主な成分は、たんぱく質、カルシウム、そしてコンドロイチン。骨を丈夫にしたい人、関節の痛みが気になる人などに広く利用されています。
 コンドロイチンは、私たちの関節軟骨にも多く存在します。たくさんの水を保持する性質をもち、骨のクッション性を維持し、関節のなめらかな動きを支えています。
 コンドロイチンは、体内でもつくられるのですが、ご多分にもれず、その生成量は年齢とともに減少。長い間、からだを支え続けてきてくれた関節の“勤続疲労”も重なって、中高年になると膝や肩、手首などが痛むようになります。
 そこで、コンドロイチン。細胞に水分と栄養分を与え、新しい軟骨の生成を促し、関節軟骨がクッション性を取り戻すのを助けてくれます。最近では、痛みの原因物質を吸着し、排除する働きがあるともいわれ、鎮痛効果もあるのではないかと期待されています。
 なんともありがたい存在ですが、摂取にあたって注意していただきたい人があります。カルシウムが一緒に含まれているため、医薬品やサプリメントなどですでにカルシウムを補給している人、活性型ビタミンD3製剤などを服用している人は、医師の指示なしでの摂取は控えましょう。カルシウムが過剰となり、からだのかゆみや吐き気、食欲不振、便秘などの副作用(高カルシウム血症)がみられることがあります。

 このほかにも、私たちは、いろいろなところでサメのお世話になっています。
 カサついた肌に使うスクワレンは、サメの肝臓に含まれる油分。べとつきが少なく、さらっとした使い心地です。高級中華食材のフカヒレは、文字通りサメのヒレの部分。コラーゲンたっぷりの食材として知られます。たまに食べるくらいで肌がつやつやになるんだろうかとも思いますが、ひととき、幸せな気分に浸ることができるだけでも、十分ですよね。