メラトニン

 睡眠に関係するメラトニンは、脳の松果体という部分から分泌されるホルモン。日中はあまり分泌されず、夜になると活発に分泌されることから、眠りと目覚めのリズムをコントロールしていると考えられています。
 時間的には夜であっても、明るい照明の中にいると、その分泌量は著しく減ってしまうことが知られています。近年、「夜、眠れない」「朝、起きられない」人が増えているといわれますが、真夜中でも真っ暗にならない環境、それによるメラトニンの分泌量の変化も影響しているのかもしれません。
 メラトニンは時差ぼけや睡眠障害を改善するとして、アメリカなどではサプリメントとしても販売されています。しかし、からだに対する作用は決して小さくはないこともあり、日本では、メラトニンそのものをサプリメントとして販売することは認められていません。それでも、個人輸入などでメラトニンを入手する人は少なくなく、大量摂取によると思われるメラトニン中毒(意識障害など)を起こした例も報告されています。また、メラトニンは血圧や血糖値、眼圧などを変動させる、てんかんの発作を起こりやすくするともいわれ、鎮静作用をもつ薬剤(抗うつ薬、睡眠薬など)や血液を固まりにくくする薬剤(ワルファリンカリウムなど)の作用を強めることも考えられます。何か疾患をお持ちの方は特に、自己判断での摂取は避けるようにして下さい。
 日本でサプリメントとして売っていないのなら、こんな相互作用関係ないのでは、と思われた方がいらっしゃるかも知れませんが、実は思いもかけない商品とメラトニンが関係しています。それが牛乳。牛も人間と同じように、昼間、活動して、夜、眠るというのが基本的な行動パターンですから、夜にはメラトニンの分泌量が増え、牛乳にも通常より多くのメラトニンが含まれることになります。牛がまだ眠っている夜明け前や夜中に搾った牛乳に自然な眠りを誘うとされるメラトニンを多く含むといわれています。そんな牛乳が売られていますから注意してみてください。
牛乳に含まれるメラトニンが、からだにどの程度の作用をもたらすのか、不明な点も多いのですが、摂取後は眠くなる可能性が高くなりますから、くるまの運転などは避けたほうが安心です。
 あなたのメラトニンがちょっと足りないと感じた時、メラトニンを多く含むホットミルクを飲む。試してみる価値があるかも知れません。