マテ

 光沢のある緑色のギザギザの葉に、まるくて真っ赤な実。ヒイラギが、クリスマスが近いことを知らせてくれています。
実はこのヒイラギ、節分のときに、イワシの頭を刺して玄関先に下げるヒイラギとは別もの。クリスマスのヒイラギは、正確にはセイヨウヒイラギといい、モチノキ科に分類されます。一方、節分のヒイラギはモクセイ科。赤い実はつけませんが、冬に、ほのかな香りのする白い花を咲かせます。

 モチノキ科の植物は世界各国に分布していますが、南米原産のマテもその一つです。乾燥させたマテの葉にお湯や水を注いで飲むマテ茶は、アルゼンチンでは日常的な飲み物。カルシウムや鉄、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB群などを豊富に含むことから、栄養源として、活力源として、古くから愛飲されてきました。
 マテ茶のカフェインの量は、緑茶や烏龍茶といったツバキ科の植物に由来するお茶に比べると、やや少なめ、といわれますが、カフェインの仲間(カフェイン類似物質)であるテオブロミンやテオフィリンなどが含まれていることが知られています。中枢神経興奮作用をもつこれらの成分の働きによって、心臓の機能アップ、血流促進、利尿、疲労回復などがもたらされるのではないかと考えられています。
 しかし、マテを長期間、大量に摂取し続けると、がん(食道がん、口腔がんなど)のリスクを高めるとの指摘もあり、そのリスクは、熱い飲み物として飲んだり、飲酒や喫煙をすることによって、さらに高まるともいわれています。また、エフェドラ、ガラナ、マテを配合したサプリメントの使用により、血圧の上昇や一時的な意識障害がみられたとの報告もあります。
 お茶として、1日に数杯飲む程度の摂取であれば、大きな問題はないと思われますが、サプリメントの場合、商品によっては高濃度のカフェイン類似物質を含む場合もあります。カフェインなどの摂りすぎでは、興奮や不眠、神経過敏、頭痛、動悸、吐き気などの症状が現れるおそれがあります。 睡眠薬や抗不安薬など、気持ちを落ち着ける作用をもつ薬剤との併用では、その効果を弱めてしまうことも考えられます。
 カフェインを含む飲食物や医薬品、カフェインの影響を受ける医薬品は少なくありません。服用中のお薬がある場合は、必ずご相談を。 ちょっと触れただけでも鋭い痛みを感じる若いヒイラギの葉。そのトゲトゲしさも、年数を経ると、しだいにまるくなっていくのだそうです。若いヒイラギ、年を重ねたヒイラギ。人を興奮させるカフェイン類の含有量は、はたして同じなのでしょうか。