クズ

 今年5月、ついに社長の地位まで上りつめた島耕作。彼の名前を冠したサプリメントが、タカラトミーから発売されています。商品は、島耕作「接待中!」「商談中!」「燃焼中!」の3タイプ。「接待中!」には、ウコンエキスとクズの花のエキスが配合されています。ウコンは、肝臓によいサプリメントとしてよく知られていますが、では、クズの花は?

 クズはマメ科の植物。旧盆をすぎたころの山野で、赤紫色の花を咲かせます。秋の七草の一つでもあります。この花を乾燥させたものを「カッカ(葛花)」といい、「酒の毒を消す」として二日酔いの予防や症状の改善に用いられてきました。だから、「接待中!」なんですね。
 でも、クズといえば、花よりも根のほうが有名かもしれません。クズの根には良質のでんぷんが豊富に含まれています。最近の葛粉にはジャガイモなどのでんぷんが使われていることが多いようですが、ぷるんとした食感の葛餅、甘い蜜をかけても、鍋に入れてもおいしい葛切り、弱った胃腸にもやさしい葛湯など、古くから日本の食卓を、楽しませてきてくれています。
 クズの根はまた、「カッコン(葛根)」と呼ばれ、多くの漢方薬にも配合されています。最もよく知られているのが、葛根湯。ゾクゾクした寒気を感じるようなひき始めの風邪や肩こりなどに効果を発揮します(どんな風邪にもよいわけではないので、ご注意を)。
 カッコンには、でんぷんのほか、イソフラボン誘導体のダイズインやダイゼイン、プエラリンなどの成分が含まれていることも知られるようになりました。
 実験段階ではありますが、大豆イソフラボンと同じような女性ホルモン様作用を示し、更年期障害や骨粗鬆症によいのではないか、プエラリンには血圧を下げる作用があるのではないかともいわれています。カッカについても、体脂肪燃焼作用がある、脂肪吸収阻害作用があるといった報告が、みられるようになりました。
 今のところ、問題となるような相互作用は知られていませんが、このような成分が含まれていることから考えると、ホルモン製剤を服用している人、ホルモンが関連する疾患がある人などは、安易な摂取は避けたほうがいいのかもしれません。血糖値や血圧などを変動させる可能性もありますから、何らかの疾患がある場合は、念のため、医師・薬剤師に相談して下さい。

 まだまだ暑い日が続きます。かき氷やアイスクリームもいいのですが、たまには葛まんじゅうはいかがでしょう。ぷるんとした口当たりが心地よく、透明感のある外観も涼やかです。