トコトリエノール

 「スーパーカー」、「スーパーファミコン」はちょっと懐かしい響きですが、ニュース番組のタイトルから、体操競技の難易度(スーパーE)、さらには銭湯にまで「スーパー」がつく時代。あっちにもこっちにもスーパーがあふれていて、ありがたみが薄れるような気もしますが、最近は、「スーパービタミンE」という言葉を目にすることもあります。

 「スーパービタミンE」といっても、新しく発見された成分というわけではありません。こう呼ばれているのは、トコトリエノールのことで、ビタミンEの同族体(よく似た構造をもつ仲間)です。
 ビタミンEは、トコフェロールとトコトリエノールの2つに大別され、それぞれに4つずつ(α、β、γ、σ)の同族体が存在します。これらのうち、最も生物活性が高い(吸収されやすく、体内で利用されやすい)とされているのがα‐トコフェロールで、医薬品などには、このα‐トコフェロールが主に配合されています。
 トコフェロールは、とうもろこしや大豆などの植物油、小麦胚芽、豆・種実類、卵など、日常的に口にすることが多い食品に、広く含まれているのに対して、トコトリエノールは、パームヤシやココナツなど、一部の植物に含まれるだけ。これまでは、酸化防止を目的に、主に食品添加物として使われてきました。
 しかし、近年、トコトリエノールは、トコフェロールよりもすぐれた抗酸化作用をもつといわれるようになり、食品(サプリメント)として用いられることも増えてきました。動物での実験段階ではありますが、トコフェロール単独では確認されていないコレステロール低下作用や心疾患リスクの低減作用なども有するのではないかともいわれています。
 こうしたことが「スーパービタミンE」と呼ばれる理由なのですが、「効果あり」という報告と「効果なし」という報告の両方があり、一定の見解が得られていないのが現状のようです。トコフェロールに比べると、吸収が劣るのではないかという懸念もあります。
 ビタミンEの作用は、トコフェロールとトコトリエノールが一緒になって発揮されているのではないかともいわれますから、トコトリエノールだけではなく、トコフェロールも一緒に摂るようにしたほうがよいのかもしれません。

 ビタミンEは、多少多く摂っても問題になることは少ないビタミンとされています。ただし、血液を固まりにくくする薬剤(ワルファリン、アスピリンなど)を服用している方では、その作用が強まる可能性が考えられます。服用中の薬剤がある場合は、必ず医師・薬剤師に相談を。