オルニチン・シジミ

 「マナ・カナ」(三倉茉奈・佳奈)の双子ヒロインで話題を呼んだNHK朝の連続テレビ小説「だんだん」。劇中での2人の父親は、宍道湖(島根県)のシジミ漁師という設定です。
宍道湖は、淡水と海水が混ざり合う汽水湖。魚介類が豊富で、中でもスズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミは「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」と呼ばれ、郷土料理には欠かせない存在だとか。最初の一文字をとって「ス・モ・ウ・ア・シ・コ・シ(相撲、足腰)」と覚えるそうです。

七珍の中で最も有名なのは、やはりシジミでしょう。日本全域で獲れますが、宍道湖のシジミは肉厚でおいしいとされています。
昔から、二日酔いや貧血の予防にはシジミのみそ汁を、といわれてきました。シジミには、肝臓の働きを助けるアミノ酸(タウリン、メチオニンなど)や、血液をつくるときに不可欠な鉄やビタミンB12などが豊富に含まれているから、と考えられますが、最近は、シジミに多く含まれるオルニチンも注目を集めているようです。

オルニチンもアミノ酸の一種。体内で生じた有害物質(アンモニアなど)の分解を促し、肝臓の解毒機能を高めるといわれています。また、成長ホルモンの分泌を促進する働きをもつことから、筋力を増強させる、除脂肪体重(脂肪以外の体重)を増加させるともいわれているようです。
インターネットで「オルニチン」を検索していると、「寝ているだけでダイエット!」というサプリメントの広告にヒットしました。内容は、寝る前にオルニチンを摂取すると、成長ホルモンの分泌が活発になり、睡眠中に脂肪が燃焼するというもの。これで痩せるなら、誰も苦労はしないわけで・・・。オルニチンが悪いわけではありませんが、ダイエットという点では疑問が残ります。さまざまな情報が飛び交っていますから、冷静に、落ち着いて判断するように心がけましょう。

サプリメントとしては、オルニチン単独のもののほか、シジミエキスとして販売されているものもあります。長い食経験もあり、極端に多く摂取しなければ問題になることはないと思われます。
でも、すでに肝臓病と診断されている方・治療を受けている方、鉄分などの制限を受けている方などは要注意。シジミエキスの中には鉄を多く含んだものもありますし、現在の症状に何らかの影響を及ぼしたり、相互作用が問題となる薬もあります。少しでもよくなりたいというお気持ちはわかりますが、摂取前に、必ず、医師・薬剤師に相談を。

「だんだん」は出雲地方の言葉で、「ありがとう」の意味だそうです。宍道湖が与えてくれる自然の恵みに、いつまでもありがとうとい言い続けることができることを願っています。