パパイヤ

 食べ物をのどに詰まらせてしまう事故―日本では、餅やこんにゃくゼリーなどによる悲しいニュースを時おり耳にしますが、アメリカの場合は肉。ステーキやハンバーグなどをよく噛まずに飲み込み、気道や食道をふさいでしまうケースが多いことから、「ステーキハウス症候群」とも呼ばれています。一般的には、強制的に息を吐き出させる、背中を強く叩くといった応急処置がとられることが多いのですが、食道につかえた程度ならアメリカでは、パパイヤの酵素を利用することもあるとか・・・。

その酵素の名前は、パパイン。蛋白質を分解する働きを持っています。肉の主成分は蛋白質ですから、作用の面からみると、理にかなった方法、といえるかもしれません。
しかし、肉がのどに詰まったとき、慌てて黄色く熟したパパイヤを食べてもダメ。完熟したパパイヤにパパインはほとんど含まれていません。パパインを多く含むのは、まだ熟していない青パパイヤで、熟成とともにその量は減っていきます。

この青パパイヤ、沖縄などでは料理の食材としてもよく使われます。肉料理に加えたり、千切りにして炒め物にしたり。これは、肉をやわらかくしておいしさを増すとともに、消化を助けるという働きを期待した知恵なのでしょう。
サプリメントとしても、「胃腸の働きを活発にする」「食後の胃もたれを軽くする」などとして勧められていることが多いようです。中には、「ダイエットによい」とうたっている広告なども目にしますが、科学的な裏付けは十分とはいえないのが実情・・・。過度の期待は避けたほうがよいでしょう。

キウイやパイナップルなどを食べると、唇やのどのはれ、蕁麻疹、息苦しさといったアレルギー症状を起こすことがあります。これはラテックス・フルーツアレルギーとも呼ばれ、パパイヤでも同様の症状が引き起こされるおそれがあります。旅行先などで、トロピカルフルーツを口にすることが多い時期でもありますが、これらの果物やゴム(ラテックス)にアレルギーのある人は、十分に注意して下さい。