オウギ

 チャプチェ、トッポキ、タッカルビ・・・日本でもよく知られるように韓国料理。サムゲタン(参鶏湯)もその一つといえるでしょう。若鶏のおなかに、もち米や栗、朝鮮人参などを詰めてスープで煮たもので、韓国では暑い時期に食べると夏バテしないとされています。今年は秋の訪れが早く、夏バテという言葉をあまり聞きませんでしたが、からだが温まりそうなサムゲタン。風邪のひき始めに食べるとよいともいわれています。

それを裏付けるかのように、サムゲタンには、ナツメやクコの実など、漢方薬にも用いられる食材がたくさん用いられていますが、朝鮮人参と並んで不可欠とされているのがオウギです。
オウギはマメ科の植物。夏に黄色い花をつけることから、キバナオウギとも呼ばれます。漢字で書くと「黄耆」。「耆」はお年寄り・長老を意味し、オウギの根が、お年寄りの長いひげのように見えることから、この字が使われるようになったともいわれています。

最近、「汗っかきで、水太りのぽっちゃり肥満に」というキャッチフレーズを耳にすることがあるかと思いますが、これは防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)のコマーシャル。名前からもわかるように、オウギを含む漢方薬です。このほかにも補中益気湯、人参養栄湯、十全大補湯など多くの漢方薬にオウギが配合されています。
漢方薬に用いられるのは根の部分。数種類のアミノ酸やミネラル、イソフラボン誘導体、サポニンなどの成分を含み、免疫力増強、滋養強壮、強心、利尿、血圧降下、抗アレルギーなどの作用を示すと考えられています。日本では、漢方薬以外でオウギを目にすることはあまりないような気がしていましたが、今回調べてみたら滋養強壮を目的とした栄養剤やドリンク剤、健康茶に入っていたり、薬膳料理に利用されたりと、実はいろいろなところで活躍していることがわかりました。

また、オウギを単独で大量に(1日20gくらい)摂取した人で、全身にかゆみや湿疹がみられたという報告があります。免疫力を高めるという作用から、免疫系の病気がある人、免疫抑制薬を服用している人などでは、その症状や薬の作用に何らかの影響を及ぼすことも考えられます。
植物由来成分は作用がおだやか、天然由来成分なら安心と思われがちですが、からだに影響を及ぼす作用をもつ以上、いつもよい作用だけが現れるとは限りません。健康茶と漢方薬の併用も同じ成分を含む場合問題になるかも知れません。摂取を考えているとき、まずは医師・薬剤師に相談を。