ラカンカ

 濃い緑色の葉の中に、小さなあかりを灯したような橙色の花、そして遠くにいてもわかる甘い香り。目でも鼻でも、秋を感じさせてくれる金木犀。日本各地でよく目にしますが、もともとは中国生まれの植物。中国語では、「桂」の字が木犀を表します。桂林という地名も、木犀が林のように多かったことから、その名前がつけられたといわれています。

桂林は中国南部の都市。漓江下りやカルスト地形がつくり出す鍾乳洞などでよく知られていますが、ラカンカはこの地の特産品の一つ。桂林以外では育たないともいわれています。
ラカンカ(羅漢果)は、ウリ科のつる性植物。ブドウのような棚で栽培され、9~10月に濃い緑色の卵形の実をつけます。一見、キウイに似ていますが、生のまま口にすることはまずありません。地元の人たちは、収穫した実を天日で乾燥し、さらに数日かけてじっくりあぶった後、細かく砕いて、お茶や民間薬などとして利用してきました。

ラカンカはまた、モグロシドなどの甘味成分をもつことでも知られています。その甘さは、渋味が少なく、まろやか。砂糖に近い良質の甘さとされ、しかも、私たちの体内ではエネルギー源として利用されないため、カロリーは0(食品表示上は100gあたり5kcal未満のとき、0kcalと表示することができる)。摂取後、血糖値が急激に上昇することもないため、肥満などでカロリー制限が必要な人、糖尿病の人などによいとされ、ラカンカエキスを含む「ラカントS」(サラヤ)は、特別用途食品(低カロリー食品)として販売されています。
このほか、咳をしずめる、痰を切りやすくするなどの作用もあるといわれ、健康茶やのど飴などとして利用されることもあるようです。アレルギー症状の改善や虫歯の予防などにも効果が期待できるのではないかともいわれますが、これらについてはまだ実験段階のようです。

ラカンカは安全性が高いとされ、健康被害の例もほとんど見当たりませんが、ラカンカを煎じて毎日飲んでいた女性が急性肝炎を起こしたとの報告があります。初期症状として発疹や発熱などが2~3週間続いていたとのこと。ラカンカに限ったことではありませんが、サプリメント摂取中に体調の悪化を感じた場合は、摂取を一旦やめて、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。
糖尿病の人の甘味料としては有用なラカンカですが、低血糖がみられたときに急いで摂取しても症状の改善にはつながりません。糖尿病治療中の人は、低血糖が起こったときに備えて、常にブドウ糖を持ち歩くようにしましょう。