核酸

 糖質カット、カロリーカット、さらにはアルコール分0.00%の商品まで登場したビール(正確には、発泡酒やビールテイスト飲料など)。「プリン体○%オフ」とうたった商品も人気です。


 最近では、広く知られるようになってきたプリン体。さすがにデザートのプリンと混同する人も少なくなっているようですが、「よくわからないけど、痛風の人が摂ってはいけないもの」という程度の認識でとどまっている人も多いかもしれません。

 プリン体とは、プリン骨格という共通の構造をもつ物質の総称。単独の成分を指すわけではなく、生物がエネルギーを生み出すときに働くATP(アデノシン3リン酸)や補酵素(NAD、NADP)、情報伝達物質(AMP、GMP)、そしてDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)なども、プリン体の仲間です。からだの機能維持に不可欠な成分が多く、食品中では、うまみの成分ともなっています(だから、プリン体を多く含む食品にはおいしいものが多い)。

 特にDNA、RNAは「核酸」とも呼ばれ、その人が、その人であるための個人情報(遺伝情報)を担っている物質。細胞が増えたり、成長したりするときに欠かせないもので、成長過程にある細胞では、その必要量が高くなっています。核酸は、私たちの体内でも合成されていますが、作られる量は20歳を過ぎると急激に低下。それを補うために、食べ物に含まれている核酸を体内で利用できる形につくり変える仕組みも備わっています。

 しかし、核酸合成能の低下が老化の一因とも考えられることから、「老化防止に」「疲労回復に」「体力増強に」などとうたった核酸のサプリメントが人気となっているようです。

 核酸などのプリン体は、体内で代謝を受けて尿酸となり、排泄されます。このため、痛風・高尿酸血症の人が過剰に摂取すると、症状を悪化させるおそれがあります。核酸以外にも、酵母類(ビール酵母、乾燥酵母など)、青汁、クロレラ、ローヤルゼリーなどのサプリメントの中には、プリン体を多く含む商品もありますから、パッケージの大きな表示だけでなく、どのような成分が入っているかについても、注意が必要となる場合があります。


 ビールはプリン体オフ。でも、核酸豊富なサプメントを使用していては意味がありません。そして、ビールはプリン体が問題だけなのではなく、アルコールの痛風への影響もあります。飲みすぎにはくれぐれもご注意を!