ヒスチジン

 花粉症の季節です。私も抗ヒスタミン薬やステロイド薬を使用して、つらい症状を乗り切っています。しかし、私にとって、花粉症の薬の副作用は深刻な問題です。抗ヒスタミン薬の副作用というと、眠気やのどの渇きが有名ですが、この他にもいろいろあり、私の悩みの種の副作用は食欲亢進と体重増加です。


 ヒスチジンは、カツオやマグロなどに多く含まれている、アミノ酸の一種です。ヒスチジンは吸収された後、脳内に入りヒスタミン脱炭酸酵素によりヒスタミンになります。ヒスタミンは、発疹やアレルギーを引き起こす生体内物質としてよく知られているのですが、脳内でのヒスタミンの働きの一つとして食欲抑制作用が知られています。その結果、体重減少が期待できるのです。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用を抑えるのですから、先に記したような食欲増進、体重増加作用を引き起こす可能性があるのです。以上のことから、ヒスチジンのサプリメントは食欲抑制作用が期待できることになります。

 ところで、ヒスタミンは、皆さんも良くご存じのようにアレルギー症状を引き起こす物質ですから、ヒスタミンを過剰に摂取すれば、ヒスタミン中毒を引き起こすことになります。数年前、東京都内のある社員食堂で、吐き気や発疹といった中毒様の症状がみられたことがありました。調査の結果、昼食に出されたイワシの蒲焼きからヒスタミンを検出。保健所はヒスタミン中毒と断定。すなわち加工時に、イワシに含まれているヒスチジンが、細菌(ヒスタミン脱炭酸酵素酸性菌)が作る酵素によりヒスタミンになり、ヒスタミンによる中毒だと発表しました。

 普通、青魚にはヒスチジンが含まれており、その体表面に生息する細菌(Proteus morganii)のヒスチジン脱炭酸酵素によって、ヒスタミンに変換されます。普通は、これを少しぐらい食べたとしても体内で分解されるため、問題になることはまずありませんが、ヒスタミンが大量に含まれている場合は、食中毒の原因にもなるのです。また、結核の薬であるイソニアジドは、ヒスタミンの分解を阻害する作用があるため、ヒスタミンが蓄積してしまい、ヒスタミン中毒が起こりやすくなります。青魚や干物などヒスチジンを含む食品は新鮮なものを食べることが大切です。


 カツオにはヒスチジンが多く含まれているため、カツオから抽出したヒスチジンがサプリメントの原料としても活用されているようです。花粉症→抗ヒスタミン薬→肥満→ヒスタミン→食欲抑制→ダイエット→カツオ・・・私の連想ゲームはこのように今晩のおかずにつながっていきます。