鼻炎用薬と咳止めの併用

 ドラッグストアショーでの薬のクイズの回答と解説の2回目です。「咳が出る。鼻水も少し出るので、咳止め薬と鼻炎用の薬をのんだ。」このクイズの回答は×です。

 鼻炎用の内服薬には、抗ヒスタミン薬と呼ばれるグループの薬を主薬として、交感神経刺激薬や抗コリン薬、抗炎症薬などが配合されています。一方、咳止め薬には、鎮咳薬(中枢性麻薬性・中枢性非麻薬性)、気管支拡張薬(交感神経刺激成分・キサンチン成分)、抗炎症成分、去痰成分が配合されています。

 鼻炎用薬と鎮咳薬の両方に含まれる抗ヒスタミン薬について成分が重複する可能性が高いので併用は避ける方がよく、もし、併用する場合には抗ヒスタミン薬が重複しない商品を選択することが必要で、登録販売者や薬剤師に相談してからの使用をお勧めします。

 鼻炎用薬に含まれる抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが、ヒスタミンの受容体に結合するのを抑えて鼻水やくしゃみ、痒みなどを抑えることを目的に配合されています。一方、咳止めに含まれる抗ヒスタミン薬は、アレルギー性の咳を鎮め、他の成分の働きを助ける事を目的に配合されています。ただし、抗ヒスタミン薬は、気道を潤す分泌物の分泌を抑制するため、痰が切れにくくなることがあり、その使用にあたって注意が必要です。

 この抗ヒスタミン薬の働きが重なると、唾液や気道の分泌物の分泌が抑えられ過ぎて、のどの渇きが強く出すぎたり、痰が硬くなって出にくくなったり、のどが乾燥して、かえってのどの炎症を引き起こしやすくなったりする可能性があります。

 また、これ以外の副作用の増強も心配になります。眠気が強く出たり、集中力が低下してボーッとしたり、目がチカチカしてピントが合いにくくなったり、眼圧が上がって視界の中に丸い輪が見えたり、おしっこの出が悪くなったり。と、いろいろ心配になりますから、併用は避けるべきということです。もちろん、これは作用が出すぎての問題点ですから、併用だけでなく、OTC薬は作用が弱いから2倍のむ、あるいは、3倍のむというように過量に服用した時にも同じ事が起こる可能性があります。薬は用法・用量を守ってのむことが大切です。

 ところで、視界の中に丸い輪が見えて頭が痛い場合は、抗ヒスタミン薬を服用しているとか、していないとかに関わらず、眼圧上昇による緑内障を発症している可能性がありますから、このような症状を感じたら眼科への受診が大切です。もちろん、抗ヒスタミン薬を服用するとこれらの症状が起きやすくなる可能性がありますから、緑内障の発見にもつながるともいえます。

 咳止めと鼻炎用薬。なんだか併用してしまいそうな組み合わせです。薬の併用は、OTC薬同士でも薬剤師・登録販売者に相談してから使用するのを習慣にして下さい。