副作用救済制度

 薬には副作用があります。用法・用量を守り、どんなに気をつけて使用しても避けることができない副作用があります。薬を正しく使用したときに副作用が発生した場合、それは、薬を作っている企業には責任がありません。その薬を処方した医師や、調剤した薬剤師にも責任がありません。もちろん使用した患者さんにも責任がないわけです。そこで、薬が適正に使用されたのに、入院が必要となる程度の副作用が発生した場合、副作用救済制度を受けることができます。そしてこの制度は、OTC薬で発生した副作用でも受けることができます。

 副作用救済給付の種類は、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料です。ただし、これらは薬があくまで適正に使用された場合に給付されるのですから、OTC医薬品の場合は、添付文書に記載された用法・用量や使用上の注意事項が守られていることが大前提で、添付文書に従って使用されなかった場合は、不適切使用と判断され、給付を受けることができません。医薬品の副作用で治療中の方は、是非、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の副作用救済制度のホームページから確認してみてください。

 また、副作用救済給付の決定についてもPMDAのホームページで公表されています。公表の目的は、副作用救済給付の実態を理解してもらい、この救済制度をより多くの方々に活用してもらうためで、医薬品の副作用情報を知らせるためのものではないとされています。

 とはいえ、やはり給付対象となった薬と、副作用情報は気になります。平成25年4月に給付対象となった中でOTC薬が対象となったのは、60歳代の女性で恵命我神散Sのアナフィラキシー(様)反応に対して、医療費・医療手当が、また、50歳代の男性は、防風通聖散料エキス錠による薬物性肝障害に対して医療費・医療手当が給付対象となっています。

 これらの副作用は、どちらもアレルギー反応によるものですから、あらかじめ予測することは難しく、なかなか避けることができない副作用といえます。

 これら救済制度の公表された情報を、是非多くの方に見ていただき、それらを知ることで薬の負の面も知ってほしいと思っています。しかし、人の心は不思議です。薬を飲むときに副作用が出るのでは、出るのではと思って服用すると、副作用でなくても、なんだか胃の調子が悪くなったりしてしまう方がいらっしゃいます。

 薬を飲むときには、自分には副作用なんて出ない、この薬はとてもよく効くと思って飲んでください。しかし、いつもと何か違う、体調が良くならないと感じたら、立ち止まって薬の副作用の可能性がないか添付文書を確認したり、薬剤師や医師に相談してください。そのためには、何かおかしいと感じることができるように、日頃から便の状態は、尿の色や量は・・・。肝障害は、茶褐色の尿の色から発見できるかもしれません。薬を使用する時は、自分自身の体の声に耳を傾けることが大切です。