睡眠薬

 東京の地下鉄やバスの24時間運航を検討。そういえば、「24時間働けますか。」というCMを耳にしたことも。人は、朝起きて活動し夜は眠る。そんな自然な営みに逆らって、働かなければならない人の存在。夜になっても照明が明るいと、睡眠のリズムも狂いがち。先行きに対する不安。ストレスも・・・。眠れない夜を過ごす人は多いのでしょうね。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成23年)でも、眠れないことが「頻繁にある」「ときどきある」と答えた人は、50代では52.7%、60代では59.7%、70代以上も59.0%。50歳代以上の2人に1人は眠れないことがあるということです。

 そんな不眠に正しく使用したいものにOTC薬の睡眠改善薬があります。疲れているのに、神経が高ぶって寝つけない。心配ごとがあって、夜中に目が覚める。不規則な生活で、睡眠リズムが狂い、寝つけない。といった一時的な不眠に使用する薬です。

 しかし、不眠【症】にはOTC薬での治療はむきません。一時的な不眠と不眠症のちがいですが、不眠症について睡眠学会では次のように定義されています。入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる「入眠障害」。夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める「中間覚醒」。朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう「早朝覚醒」。起きたときにぐっすり眠った感じの得られない「熟眠障害」。などがあり、これらが週2回以上みられ、その症状が一カ月間持続すること。さらに、不眠のため苦痛を感じたり、社会生活または職業的機能が妨げられること。とされ、不眠症と診断されて場合には、医療用の医薬品での対応が必要です。

 医療用医薬品とOTC薬では薬の働きが全く異なります。OTC薬は、風邪薬や鼻炎用の薬などに使われている抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン塩酸塩)が主成分です。風邪薬を飲むと眠くなりますが、その作用を利用して眠くさせるというものです。尿の出が悪くなる、喉が渇くなどの副作用についても注意が必要です。

 一方、医療用の睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系が使用されています。また、睡眠のリズムを整える効果も期待できるメラトニン受容体刺激薬といった新しい薬もあります。現在使用されている睡眠薬は、安全性が高く評価されていますから、医師に相談され、しっかり睡眠のリズムを整えることが大切です、夜間の不眠が、昼間の活動性を下げてしまうことが、何より問題です。また、睡眠薬の使用に関しては、専門家と一般の方に考え方に大きな違いが知られています。そんな誤解を埋めるために、厚労省研究班と日本睡眠学会から、6月13日に「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が発表されました。アルコールより睡眠薬の方が効果的で安全。様々なケースごとに患者向け、医師向けにそれぞれ解説したものです。睡眠学会のホームページから入手できますから、一度ご覧になってみて下さい。