骨粗鬆症とカルシウム

 女性の寝たきりに原因として大きな問題となるのが骨折。その原因が骨粗鬆症。骨のもろさが原因で骨折、寝たきりにならないためには骨粗鬆症の予防が大切です。そんな骨粗鬆症の予防、治療に不可欠な栄養素の1つがカルシウムであることはよく知られています。カルシウム摂取量を増やすことは骨粗鬆症の予防、治療に有効なのですが、ビタミンDが不足しているとカルシウムの吸収は、低下します。さらに、吸収されたカルシウムが骨に沈着するかどうかは、年齢などによっても異なり、女性では10代前半の特に骨形成が高まる時期での、カルシウムの摂取が大切です。

 骨粗鬆症の治療のためには1日700~800 mgのカルシウム摂取とビタミンDとの併用が勧められています。ただ最近、「カルシウムのサプリメントの積極的な摂取による心血管疾患のリスクが高まる可能性がある」と、カルシウムの積極的摂取に対する問題点が指摘されています。しかし、この報告は海外のもので、カルシウムの摂取量など我が国の状況とは異なるため、あまり問題ないとする意見もあるのですが、「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン 2011」は、「現時点ではサプリメント、カルシウム薬として1回に500 mg以上摂取しないように注意する必要があろう。また、ビタミンDとの併用時には高カルシウム血症にも注意が必要である。」と、注意が喚起されています。 さらに、「同じ量のカルシウムを食品として摂取した場合には、そのようなリスクの上昇はなく、栄養素としてのカルシウムの特徴とも考えられている。」と記載さています。

 このガイドラインの報告から、OTC薬のカルシウムを見たときに戸惑いを覚えました。実は、多くのカルシウム製剤が、1日1回600mg服用のものが多いということです。カルシウム製剤の用法・用量と、ガイドラインでの安全な用量との間の違いが問題となります。どう考えても、OTC薬の量が多いのです。

 薬剤師は、添付文書に従って使用するように説明するわけですが、それではガイドラインの内容とで矛盾が生じてしまいます。古くから使用されてきているカルシウム。そこに新しい、情報が生まれてきて、以前の情報との間に違いが出てくる。

 今後、これらの情報が検証され、OTC薬の添付文書の記載が変更されたり、あるいは日本人ではこの使用法で問題ないといった結論が出るまでにはしばらく時間がかかるかも知れません。

 その間、どうすべきか。1日1回の服用は、飲み忘れを少なくする上で重要ですが、やはり分割して、1日2回の服用として1回の服用量を少なくされる事をお勧めしたいと思います。