携帯心電計

 心臓は4つの部屋に仕切られています。上の部屋が心房です。その心房が1分間に450~600回不規則に興奮する。心房がワナワナと震えているような状態をイメージしてみてください。これが心房細動と呼ばれる不整脈です。この状態では心房から下の部屋の心室に血液がきちんと押し出されなくなり、心房の中の血液が固まりやすくなります。

 そして、心房の中にできた血液の塊が、脳に行き脳塞栓が起こる。つい、今まで何ともなかった人が、倒れてしまう。怖いですよね。心房細動が心臓の病気であるとともに、脳の病気であるといわれる由縁です。

 こんな心房細動の自覚症状は、動悸を感じたり、胸が苦しくなったり、胸のあたりに圧迫感があったり、息苦しくなったり、胸痛などの症状を起こします。脈がふれにくくなったり、強くなったり弱くなったり。

 心房細動は心電図を測ることで診断されます。ただ、病院で心電図を測っても、その時に心房細動が起きなければ診断できないわけです。そこで、病院ではホルター心電計をセットし、24時間心電図を記録することがされます。しかし、これもまた24時間以内に心房細動が起きなければ診断できないわけです。

 心房細動に限らず不整脈の診断は、現行犯逮捕が重要ということです。24時間ホルター心電計による、現行犯検挙率は30%だとか・・・。70%は、不整脈があっても診断できないということです。

 そこで、日本心臓財団など循環器疾患の専門医は、何か胸の圧迫感があるといった自覚症状がある時には携帯心電計で心電図をとり、それを受診の時に見せる事を推奨しています。価格は3万円前後で、家電センターで購入できます。ネット通販でも販売されています。

 ちょっとおかしいな、と思った時。あるいは、スポーツをする前に、血圧を測ったりするように、心電図をとる。そんなことが習慣になったら、脳卒中や心筋梗塞などを予防できる確率が高くなってくるはずです。

 また、不整脈を副作用で引き起こす薬もいろいろです。高齢になると、下痢をした場合、腸から吸収されるカリウムが体に吸収されずに体外に排出されてしまい、低カリウム血症になると、これもまた不整脈が引き起こされる可能性が。

 薬の不整脈の中で、よく問題となるのがQT延長と呼ばれるもの。ただし、これはいきなり失神。それでは困りますよね。定期的に心電図を測定していたら、こんな副作用も早期発見できる可能性が高くなります。

 体の声を聞く・・・。体温計に血圧計、高齢社会では携帯心電計も一家に一台の時代です。