カルシウム

「平成15年国民健康・栄養調査」(平成17年4月発表)によると、20歳以上の男女で、栄養補助食品や強化食品などからカルシウムを補給している人は2.9%。これはビタミンB1の5.3%、ビタミンB2及びB6の5.2%などに続き、5番目に多い結果でした。
 補給している人と食品からのみ摂取している人でカルシウム摂取量を比較すると、前者は907mg、後者は518mg。食事摂取基準の目安量は、18歳以上の男性650~900mg、女性600~700mgですから、補給している人はやや多め、食品のみの人は不足ということになります。

 カルシウムの主な働きは骨や歯を丈夫にすることですが、血液中や細胞内にも存在し、心機能、筋収縮、ホルモン分泌、血液凝固など、多くの生体反応に関与しています。このような働きをするカルシウムの量は全体のわずか1%ですが、その濃度は、副甲状腺ホルモンやカルシトニンによって常に一定に保たれています。
 摂取するカルシウムの量が少なくなり、血中のカルシウム濃度が低下すると、骨から持ち出されるカルシウムの量が増えます。このような状態が続くと骨量が減少し、骨粗鬆症に至ることもあります。

 骨粗鬆症治療薬にはさまざまな種類がありますが、カルシウムとの関係で注意を要するのが、ビスフォスホネート製剤と活性型ビタミンD3製剤です。 前者は、骨からカルシウムが溶け出すこと(骨吸収)を強力に抑えます。そのため、血中のカルシウム濃度が低下して、低カルシウム血症(筋肉痛、指先や舌先がしびれる、筋肉の痙攣など)を起こすことがあり、積極的なカルシウム補給が必要です。ただし、本剤とカルシウムを同時に摂ると、薬とカルシウムの両方の吸収が妨げられるため、服用間隔を2時間程度あけるようにしましょう。
 一方の活性型ビタミンD3製剤は、腸管からのカルシウム吸収を亢進させる薬剤です。そのため、カルシウムを補給すると、高カルシウム血症(便秘、腹痛、吐き気、体のかゆみ、吐き気、口渇など)を来たすことがあります。通常の食事に含まれるカルシウムは問題になりませんが、医薬品やサプリメントなどでの補給は避けたほうがよいでしょう。

 「カルシウムは積極的に摂ったほうがいい」というイメージが根強いようですが、服用中の薬剤がある場合は、そうとは限りません。必ず医師・薬剤師に相談を。