ビタミンB12

 ビタミンB12の色、ご存知ですか。ビタミンだから黄色と思うかもしれませんね。でも、実は赤色。それも、とても鮮やかな。疲れ目に使用される赤い目薬。あれがビタミンB12の色。視神経に働き、目の疲れをやわらげてくれるのです。ビタミンB12には、傷ついた神経を修復する作用があるともいわれ、目の疲れだけでなく、手足のしびれや痛み、神経痛などに用いられることもあります。
 さらに、ビタミンB12は葉酸とともに赤血球をつくるのにも関係しています。そのため、ビタミンB12が欠乏すると、正常な赤血球がつくられなくなり、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を起こすことが知られています。
 ビタミンB12は肉類や魚介類に多く含まれます。乳製品や卵にも含まれているので、普通は、欠乏することはまずありませんが、野菜にはほとんど含まれていませんから、厳格なベジタリアンの人では、不足することもあるようです。
 ビタミンB12は比較的大きな分子構造をもっているため、そのままでは吸収されにくく、消化管で吸収される際には、胃酸と、胃酸中に含まれる内因子が必要です。そのため、胃を切除した人、胃酸の量が少ない人(低酸症、無酸症)などでは、ビタミンB12を摂っても十分に吸収されないため、ビタミンB12の欠乏が起こる可能性があります。
 通常は、肝臓に蓄えられているため、すぐに不足するという事態にはなりませんが、手術後数年を経過したり、胃酸の少ない状態が長く続いたりしている場合は、注意が必要でしょう。
 また、胃酸が出るのを抑える薬、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬や、胃酸を中和する制酸薬のように薬剤を、長期間、服用している場合も、ビタミンB12が欠乏する可能性があうのです。これらの薬を飲んでいるときは、食品のビタミンB12は吸収しにくいため、医薬品やサプリメントで補給するとよいでしょう。その際も、医師・薬剤師への相談を、お忘れなく。