食物繊維

 「食物繊維」と聞くと、ごぼうやさつまいもなどのように、いかにも筋が多いものを思い出しがちですが、実はそればかりではありません。
 かにやえびの殻に含まれるキトサン、こんにゃくに含まれるグルコマンナン、海藻類のぬめりの成分でもあるアルギン酸、果物に多く含まれるペクチンなども食物繊維の一種。消化酵素では消化されない成分をまとめて、食物繊維と呼んでいます。

 食物繊維は、水分を保持する性質をもつため、便に水分を含ませてやわらかくし、また便のカサ(容積)を増やします。こうした作用によって排便が促されるほか、有害物質を吸着し、体外に排泄するともいわれます。料理や飲み物などに混ぜて摂取する食物繊維のサプリメントや「おなかの調子を整える」といわれる特定保健用食品に含まれる食物繊維は、こうした働きを利用したものといえるでしょう。
 さらに近年では、食物繊維が、糖やコレステロールの吸収を妨げ、食後の血糖値の急上昇や血清コレステロール値の上昇を抑えることが明らかになり、血糖値やコレステロールが気になる方の特定保健用食品としても用いられるようになりました。

 このように多彩な作用で注目されている食物繊維ですが、長期にわたって過剰な摂取を続けると、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)や葉酸、ミネラルなどが十分に吸収されず、栄養素の欠乏が起こることが考えられます。ジギタリス製剤などの薬剤の吸収も阻害され、作用が弱まることもあります。

 また、便秘の改善に食物繊維をということは、ご存知の方も多いでしょう。でも、ストレスなどからくる、痙攣性の便秘の方(この場合は、便がウサギの糞のように、コロコロしていたり、下痢と便秘を繰り返したりすることが多い。)の場合は、食物繊維の過剰な摂取は、症状を悪化させてしまう可能性があります。サプリメントの摂取についても、身近な薬剤師に相談を!