乳酸菌類

 「植物性乳酸菌」という言葉、カゴメの乳酸菌飲料「ラブレ」や伊藤園の野菜飲料「朝から野菜」などのコマーシャルで初めて耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。ちょっと耳慣れない感じもしますが、実は身近にたくさんあります。
 ラブレに用いられている乳酸菌の正式名称は、「ラクトバチルス・ブレビス・サブスピーシス・コアギュランス」。京都の伝統的な漬物「すぐき漬け」から発見されました。独特の酸味とうま味は、この菌の働きによるもの。しば漬けやキムチ、味噌や醤油なども、植物性乳酸菌の働きを利用した食品ですから、古くからそれとは知らずに利用していたわけです。
 乳酸菌は、糖を発酵させて乳酸を作り出す菌の総称。有名なビフィズス菌も乳酸菌の一種です。おなかの調子を整えることで知られていますが、これは、乳酸菌が腸の中で乳酸を作ることで、からだにとって役に立つ菌の増殖を助け、有害な菌を育ちにくくするためとされています。

 ところで、肺炎や気管支炎、傷口の化膿など、細菌が感染して起こるさまざまな症状に用いられる抗生物質。原因となっている菌だけに効いてくれればいいのですが、腸内に棲みついている有用な菌も減らしてしまい、下痢や軟便がみられることがあります。
 さらに、抗生物質の服用が長くなると、腸内細菌の働きが抑えられるため、腸内細菌によって体内で作られるビタミンB群やビタミンKが不足することも考えられます(ビタミンB群の不足では口内炎や肌荒れ、食欲不振などが、ビタミンKの不足では歯茎や鼻からの出血などがみられる)。

 抗生物質による下痢には、一般に、乳酸菌などを配合した整腸薬が使われます。子どもやお年寄りなどでは、予防のために、抗生物質と一緒に処方されることも少なくありません。中には、それでも下痢を起こすこともあり、その場合は、抗生物質に強い耐性乳酸菌製剤が必要です。抗生物質をのんでおなかの具合が悪くなったとき、体調の変化を感じたときは、自分の判断でのむのをやめたりせず、受診して、医師の指示を受けるようにしましょう。

 腸内環境を整えてくれる乳酸菌。下痢をしやすい人、便秘がちな人には、おすすめのサプリメントといえます。最近では、免疫の機能を活性化したり、アレルギー反応を起こりにくくしたりする働きがあるのではないかとの期待も寄せられています。
 乳酸菌と薬の相互作用が問題になることは少ないと思われますが、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれるミネラル(カルシウムや鉄など)が、薬の吸収に影響を及ぼすことがあるかもしれません。よく摂る食品やサプリメントがある場合には、念のため、薬剤師にお知らせ下さい。