ブロッコリー

 もやし、貝割れ大根、アルファルファ・・・。白っぽくてひょろひょろした外見からは、弱々しい印象も受けますが、栄養的には優秀選手。カロテン、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類を豊富に含み、現代人にとっては頼もしい存在とも言えるでしょう。
 これらの野菜は、総称して「スプラウト」と呼ばれることもあります。スプラウト(sprout)とは、新芽、若芽のこと。日本では、「発芽した、食べられる野菜」という意味で使われているようです。

 近年、注目されているのが、ブロッコリー・スプラウト。スルフォラファンという成分を多く含み、サプリメントの素材としても利用されています。
 スルフォラファンは、ブロッコリーやカリフラワー、キャベツといったアブラナ科の植物にみられる成分で、解毒酵素を活性化する働きをもっています。その結果、有害な物質(発がん作用のある物質、活性酸素など)を無毒化したり、体外への排泄を促したりすることで、がんなどの疾患を予防してくれるのではないかと期待されています。胃潰瘍や胃がんの原因ともなるピロリ菌に対して殺菌作用を示した、高血圧や心疾患に対して改善作用を示したなどの研究報告もあるようです。
 一方、日常的に食べる機会が多いブロッコリー。スルフォラファンの含有量ではスプラウトに負けてしまいますが、ブロッコリーに含まれるSMCS(S‐メチルシステインスルフォキシド)にはコレステロールの上昇を抑える作用があることが明らかになりました。
 ブロッコリー・キャベツ抽出物由来のSMCSを含んだ青汁、野菜ジュースなども人気を呼んでいますが、緑の濃い野菜はビタミンKが豊富。大量に摂取すると、抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)のワーファリンの作用を弱めてしまうことが考えられます。毎日の食事の中で食べる程度の量であればきびしく制限する必要はなく、一度にたくさん食べないように気をつけていただく程度でよいと思われますが、青汁や野菜ジュースをゴクゴク・・・というのは避けたほうがよいでしょう。血圧を下げる薬をのんでいる方では、カリウムの摂り過ぎが心配なケースもあります。
 ビタミンKやカリウムの含有量は商品によって大きく異なりますから、すべてがダメというわけではありませんが、配合されている成分の名前や量はしっかり確認する習慣を。服用中の薬剤がある場合は、必ず医師や薬剤に相談するようにしましょう。

 4月。植物の世界も人間の世界も、本格的な芽吹きの時季を迎えました。若い芽がもつ力と輝き。大切にしてほしいなと思います。