アロエ

 アロエ。子供の頃、「医者いらず」なんて呼び名で、田舎の庭の大きな植木鉢の中にありました。やけどや、胃の調子が悪い時に母がよく使用していました。そんなアロエも今は、コンビニのヨーグルトの中にまで。1994年の発売当時には、ヨーグルトにアロエ?と疑問視する声もあったそうですが、今ではすっかり定番商品の一つとなりました。

 白いヨーグルトの中に入っている、透明なゼリー状の物質。これは、アロエの葉肉部。葉の緑色の部分を取り除いたもので、たっぷりの水分と食物繊維の一種であるグルコマンナン、多糖類、ビタミンやミネラル、アミノ酸などを含んでいます。
 ヨーグルトなどには、アロエベラという、葉が大きくて厚い種類のものがよく利用されますが、日本でよく見かけるのは、キダチアロエ。葉には鋭いトゲがあってやや小ぶり、葉肉部も薄めですが、先に紹介したように「医者いらず」という異名があるほど、古くから民間薬として用いられてきました。
 アロエにはさまざまな作用があるといわれますが、最もよく知られているのが、便秘の改善。これは、葉の緑色の部分に含まれるアロイン、アロエエモジンなどの作用によるもので、一般に販売されている便秘薬の中にも、アロエの成分を配合した商品があります。
 ただし、アロエでは、腹痛や下痢の副作用が知られています。長く摂り続けると、症状が悪化するおそれがありますから、連用はしないように。目安は8日間以内といわれますが、それより短期間であっても、腹痛などの症状がみられた場合は摂取をやめて下さい。子宮を刺激する作用もあるといわれていますので、妊娠中や授乳中の摂取は避けるようにしましょう。
 慢性的な便秘の場合、便秘薬とともに、アロエのお茶やジュース、サプリメントなどを一緒に摂ったほうがよいのではないかと思われる方を時々見かけますが、下剤としての作用が強まり、強い腹痛やひどい下痢を起こすおそれがあります。
 詳しいことはわかっていませんが、アロエには血糖値を下げる作用があるともいわれています。インスリン製剤や血糖降下薬などとの併用は、その作用が強められ、低血糖を起こす危険もありますから、自己判断でのアロエの摂取は避けるようにして下さい。

 アロエの絞り汁は、やけどや切り傷などの手当てにも用いられます。民間療法ではみずむしに使われることもあるようですが、かえってひどくなってしまうケースもあり、アロエの成分による接触皮膚炎も報告されています。使用はごく軽い傷に限るようにし、使用中に痛みなどの刺激を感じた場合は、使用をやめ、すぐに患部を水かぬるま湯で洗い流すようにしましょう。