ケール

 緑色なのに、どうして“青”信号? 緑色の野菜を売っているのに、なぜ“青”果店? “青々”とした“緑”は、結局、青なの?緑なの? さまざまなところでみられる、青と緑の混乱。古い日本語には、緑を表す言葉がなく、青も緑も「青」と言っていたためらしいのですが、青汁は「青汁」という呼び名で幸せだったのかもしれませんね。「緑汁」では、ちょっと生々しすぎて、クセも強そうで・・・。
 大麦若葉、明日葉、桑の葉、ゴーヤーなどなど。近ごろは青汁のバリエーションも増え、材料にこだわって選ぶ人も増えていますが、青汁といえば、やはりケール、忘れることができない存在です。

 ケールは地中海地方原産の野菜で、キャベツの原種といわれています。大きな葉が特徴で、キャベツの葉1枚が50g前後なのに対して、ケールは200~250g。たった1枚の葉から、180~200mLもの青汁が得られるそうです。
 「まず~い!」というコマーシャルで一躍人気となった青汁も、ケールを主な原料としています。独特の苦味と、ほどほどの飲みにくさ。いかにもからだに良さそうで、「健康のために、がんばって飲んでいる」と精神的な満足感にもつながっているのかもしれません。
 ケールは、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル、食物繊維、たん白質などを豊富に含んでいることでも知られます。特に目を引くのが、カルシウムの多さ。収穫時期や産地によって若干の変動はあるものの、ケール100g中(可食部)には、200mg以上のカルシウムが含まれているともいわれ、これは、普通牛乳1カップ(210g)中のカルシウム量にも匹敵する量となっています。
 ただし、中には注意が必要な栄養素もあります。まずは、ビタミンK。血液を固まらせる働きがあるため、血液を固まりにくくする薬(ワーファリンなど)の作用を弱めてしまうことがあります。また、カリウムの量も多いため、血圧を下げる薬(特にACE阻害薬、ARB、カリウム保持性利尿薬というグループの薬剤)との併用では、血中のカリウム量が増え、筋肉に力が入らない、脈が乱れるなどの症状がみられることもあります。大きな問題になることはないと思われますが、その他の薬剤についても、その吸収に影響を与えることがあるかもしれません。服用中の薬剤がある場合は、医師や薬剤師にご相談下さい。

 ケールについては、最近、ブドウ糖の吸収を阻害して血糖値の上昇を抑える、発がん物質(ニトロソアミン)の生成を抑える、アレルギー反応を予防するなど、多彩な効果を示す実験結果も報告されているようです。でも、不規則・不摂生な生活が、ケールの青汁を飲めばチャラ、というわけにはいかないので、自戒を込めて、ご注意を。