ザクロ

 「女子大に6人の男子学生が誕生」。今年4月、こんなニュースが報じられました。これは、愛知県の中京女子大学が「女子大学」という校名のままで男子の入学を認めたことによるものですが、「保育士をめざす」と控えめに語る彼らの目。強い意志を感じました。
 保育士さん、看護師さん・・・。かつては女性が多かった職業でも男性の姿が増えています。「逆・紅一点」状態の職場も少なくないようですが、紅一点という言葉、「万緑叢中紅一点」という中国の詩に由来します。文字通り、一面に広がる緑の中に、紅色の花が一輪咲いている情景をうたったものですが、この紅色の花は、ザクロだったと伝えられています。

 初夏、深みのある赤い花をつけるザクロ。10年ほど前、女性ホルモン(エストロゲン)に似た成分を含むといわれ、更年期症状を緩和する、生理不順によい、美肌効果があるなどとして、大ブームとなったことがありました。
 当時は、数多くの商品が次々と発売されましたが、1999~2000年に行われた国民生活センターの調査では、実際の商品中にエストロゲン様物質は確認されませんでした。そのことが明らかになると、ブームは一気に下火に・・・。今でも「女性にやさしい」というイメージで売られているザクロ関連商品を見かけることがありますが、現段階では、科学的な根拠には乏しいのが実情のようです。
 エストロゲン様物質は確認されていませんが、ザクロには、タンニンが多く含まれていることが知られています。お茶の苦味や柿の渋味などもタンニンによるもので、民間療法として下痢止めや整腸、駆虫、止血などの目的で使われることもあります。
 しかし、大量に摂取すると嘔吐や下痢などを起こすことがあるほか、他の物質の吸収を邪魔する可能性もあることから、医薬品や他のサプリメントを摂取するときは、ザクロのジュースではのまないほうがよいとも言われています。
 さらに、ザクロの果実や種子ではアレルギー反応を起こすことも知られていますから、アレルギー体質の人、特に他の植物でアレルギー症状を起こしたことがある人は、注意が必要です。