メリロート

 いつのころからか、多くの人が知るようになったセルライト。血行が悪くて、さわると冷たいところにできる脂肪のかたまりのことをいうらしく、マッサージをしたり、ローラーを転がしたり、ジェルを塗ったり・・・いろいろなセルライト除去の方法があるようです。4、5年ほど前には、セルライトによいというサプリメントがブームになったことがありました。

 「セルライト対策に」「気になるむくみに」「下半身太りのあなたに」といったキャッチフレーズがつけられたそれらの商品。その多くは、メリロートを主成分としたもの。3000円、5000円を超える高価な商品もありましたが、若い女性が次々と買い求めていた光景が思い出されます。
 メリロートは、医薬品としても使われている成分です。末梢の血液やリンパの流れを改善する作用、炎症をしずめる作用があることから、外傷や手術後の腫れ、痔疾による腫れや出血、かゆみなどの緩和に用いられます。
 ドイツなどでは、下肢の静脈機能の低下による足の痛みや重苦しさ、夜間のこむら返り、リンパの停滞などの補助的治療にも用いられることがあるようです。
 メリロートそのものに、それなりの薬理作用があることは確かなのですが、それがセルライトやむくみの改善につながるかというと・・・残念ながら、疑問が残ります。
 2004年の国民生活センターの調査でも、過度の期待を抱かせるような表示、含有されている有効成分のバラつき(医薬品の服用量の5倍近いものから、ほとんど含まれていないものまで、約20倍の差があった)などが指摘されました。
 メリロートの作用は比較的おだやかで、医師の処方に基づいて服用したり、用法用量を守って使用したりしている分に関しては、心配な副作用はほとんどないといわれていますが、大量摂取により、肝機能障害を起こした例が報告されています。摂取目安量を守ることはもちろんですが、肝臓が悪い人、肝機能の異常を指摘されたことのある人は、摂取を避けたほうがよいでしょう。
 また、メリロートの有効成分は、クマリン誘導体。血液を固まりにくくする作用をもつといわれます。血栓予防のための薬剤(ワーファリンなど)を服用している場合、両方の作用が重なって出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりするおそれがあります。決して、併用しないようにして下さい。

 ブームも一段落。当時人気だった商品の中には、すでに製造中止となっているものもあるようです。サプリメントの世界もきびしなぁ、とちょっと同情したくもなりますが、「生命関連物質」ある程度のきびしさは、当然ですよね。