テアニン

 玉露をいれるとき。お湯の温度は、かなり低めの50~60℃くらい。ゆっくり3分ほど待ってから、ていねいに、湯のみ茶碗に注ぎます。
 一般的な煎茶のように、80℃前後のお湯で待つのは1分くらい・・・といったいれ方では、玉露ならではのおいしさを、十分に引き出すことができません。高級な茶を飲むときには、いれるときから気持ちもゆったりと。こまやかな配慮も大切なようです。

 緑茶のうまみ・甘味は、テアニンという成分によるもの。苦味担当のカフェインや渋味担当のカテキンが、80℃以上で溶け出すのに対して、テアニンは、50℃前後で溶出します。玉露には、テアニンが多く含まれていることから、前述のようないれ方がすすめられるのです。
 テアニンは、別名グルタミン酸エチルアミド。グルタミン酸は、うま味調味料の成分としてご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。テアニンは、グルタミン酸と似たような構造をもち、緑茶にうまみと甘味を与えてくれているのです。
さらに最近では、テアニンのリラックス効果にも注目が集まっています。緑茶を飲むと、なんなくほっとするような、おだやかな気持ちになりますよね。あれは、テアニンの存在があるからではないかともいわれています。
 リラックスしているときにあらわれる脳波(α波)が、テアニンの摂取後にみられたとの報告もあり、気持ちを落ち着ける、自然な眠りを誘うといった作用も期待されています。サプリメントだけでなく、飲料などにもテアニンを含んだ商品が増えてきました。
 忙しさの中で、ほっと一息つきたいとき。眠いのに、目がさえて眠れないとき。そんなときにテアニンは役に立つかもしれません。ただし、日本茶をたくさん飲むと、中枢興奮作用のあるカフェインも一緒に摂ることにもなってしまうので、そんなときにサプリメントを活用するとよいでしょう。
 ただし、バレリアンやセント・ジョーンズ・ワートといった他の“癒し系”のサプリメントや、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などをすでに使用・服用している場合は、作用が強く出てしまったり、症状が不安定になってしまったりすることも考えられます。必ず、医師・薬剤師に相談を。

 からだの健康にも、心の安定にもよいことがわかってきた緑茶。でも、ちょっと気になる調査結果があります。1日4杯以上の緑茶を飲む人では、1杯以下の人よりも摂取カロリーが200kcalほど多く、お菓子を食べる習慣をもつ人も多い―。緑茶と甘いお菓子。なんとも言えない幸せな組み合わせですが、どうぞ、くれぐれも食べ過ぎないように。