ノニ

 渋くて、苦くて、すっぱい。薄めたコーヒーと濃い緑茶と柑橘系のジュースを混ぜたみたい。クレヨンと酢を混ぜたよう・・・。
 テレビ番組の罰ゲームとして使われることもあるノニジュース。その味を言葉にすると、こんな表現になるのだそうです。何とも複雑な味のようですが、多くの人に共通した感想は、「お世辞にも、おいしいとは言えない」。

 ノニは、ミクロネシアやポリネシアの島々を中心に、熱帯・亜熱帯地方に広く自生する植物。ノニ(Noni)はハワイでの呼び名ですが、ノノ(Nono)、インディアン・マルベリー(Indian Mulberry、マルベリーはクワの実のこと)といった名前もあり、沖縄では「ヤエヤマアオキ」とも呼ばれます。
 中鎖脂肪酸、アントラキノン類、ビタミンC、ビタミンA、カロテン、ルチン、カリウムなど、さまざまな栄養素を含み、「ダイエットによい」「がんの予防になる」「糖尿病や高血圧によい」「免疫機能が活性化する」など、さまざまな“効用”があるといわれます。しかし、どれも科学的な裏づけに乏しいのが、実情。どの成分によって、どのような作用が期待できるのか、これからの研究の成果が待たれるところです。
 詳細は不明でも、からだによいとして、広く知られるようになったノニですが、海外では、ノニジュースを数週間~数ヶ月、飲み続けた人で、肝機能障害が起こったとの報告があります。ノニに含まれるアントラキノン類が原因物質なのではないかと考えられていますが、肝機能障害を起こしたケースの中には、1日に1.5リットル、2リットルものノニジュースを飲んでいるケースがありました。
 こんなに多くの量を、毎日毎日、飲み続けたとしたら・・・。本当にからだによいものだとしても、具合が悪くなってしまいそうです。健康でありたいと願う一心で、決しておいしいとは言えないノニジュースを必死で飲んでいたのかもしれないと考えると、せつない思いもしてきます。
 ノニジュースはまた、ブルーベリーやグァバ、アセロラなど、他の果物のジュースをミックスしたものも多く、成分の含有量は商品によって異なります。しかし、一般的なオレンジジュースと同じくらいのカリウムを含むともいわれますから、カリウム保持性利尿薬やカリウム補給薬などを服用している人、腎臓の悪い人、カリウムを摂り過ぎないように注意されている人などは、たくさん飲んだり、飲み続けたりしないように気をつけて下さい。