アマニ

 「亜麻色の髪の乙女」と聞いて、思い出すのはドビュッシーのピアノ曲?ザ・ヴィレッジシンガーズ?島谷ひとみ?深く追及するのはやめておきますが、亜麻色って、どんな色でしょう。
 黄色みを帯びた茶色、明るい灰みの茶色ともいわれますが、金色と茶色に灰色を混ぜたような、ココアにミルクをたっぷり入れたような。ちょっと複雑ですが、素朴で温かみのある色です。

 この亜麻色は、亜麻からとれる糸の色に由来します。亜麻の茎から得られる細くて、しなやかな糸。それを使って織られた布地は「リネン」と呼ばれ、シャツやシーツなどに利用されてきました。古くは、ミイラを包む布としても使われたと伝えられています。その種子(亜麻仁 アマニ)からは、油が得られ、食用としても広く利用されてきました。
 近年、アメリカやカナダなどでは、ダイエットや生活習慣病の予防によいとして、アマニが人気を呼んでいるようですが、最近では日本のスーパーでも、このアマニ油を使ったドレッシングやアマニを配合したクッキー、サプリメントなどを見かけるようになりました。
 アマニに含まれる主な成分は3つ。
 1つは、食物繊維。水溶性と不溶性、両方の食物繊維を豊富に含み、おなかの調子を整えてくれるといわれています。
2つめは、α-リノレン酸。体内でDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などに変換されるω-3系脂肪酸で、血液の流れをよくする、脳の働きを活発にするなどの作用が期待されます。
 そして3つめが、アマリグナン。抗酸化作用のほか、女性ホルモンに似た働きをするといわれ、更年期の症状の予防や軽減に役立つのではないかとした研究が進められています。さらに、動物実験の段階ではありますが、肥満の予防や抑制に効果がありそうだとするデータも示されています。
 ただし、からだによいとされるα-リノレン酸も、大切なのはω-6系脂肪酸(リノール酸など)とのバランスです。また、女性ホルモン様の作用があるとすれば、ホルモンが関連している病気の人、ホルモン剤を服用している人の場合、アマニをサプリメントとして摂取することは控えたほうが安心かもしれません。

 “1つで3度おいしい”ともいえそうなアマニ。ちょっと試してみたくなりますが、人間のからだは複雑。いろいろな要素がからんできます。自分のからだのことも、サプリメントのことも、よく知って、上手に利用したいものですね。