ルチン

 クリスマスが終わると、街は一転、“純和風”の装いへ。ケーキ屋さんに代わって、今度はそば屋さんが賑わいを見せるようになります。
 年越しそばのいわれはいろいろ。「そばのように細く、長く」との願いが込められている。金細工師が、飛び散った金粉を集めるときに水で練ったそば粉を使ったことから、お金が集まるようにとか、そばが簡単に切れるところから、嫌なこととは早く縁が切れるようにとか・・・。人としての願いが込められているようです。
 炭水化物、蛋白質、食物繊維、ビタミンB群、葉酸、カルシウム、マグネシウムなど、多くの栄養素を含むそばですが、特徴的な成分の一つとされるのが、ルチンです。
 ルチンはポリフェノールの一種で、ビタミンに似た性質をもつことから、ヘスペリジンやケルセチンなどとともにビタミンPとも呼ばれます。毛細血管を丈夫にし、血液の流れをよくする働きがあるといわれ、高血圧や脳出血の予防によいとして話題となりました。
 日本そばに多く含まれるルチンですが、水に溶けやすいため、ゆでている間に、お湯の中に溶け出してしまう可能性があります。食べ終わった後のつゆに、そばをゆでたときのお湯をさして飲むそば湯。そばの味や香りを最後まで楽しむだけでなく、栄養補給という意味合いもあるようです。
 最近は、ティーバックやペットボトル入りのそば茶を見かけることも増えました。お茶として用いられることが多いのが、韃靼そばです。原産は、中国・チベット地方。独特の苦味をもつのが特徴で、普通の日本そばの数十~百数十倍ものルチンを含むといわれます。
 ただし、そばにアレルギーがある方の場合、そばはもちろん、そば茶などの摂取は避けること。ルチンのサプリメントの場合も、不純物としてそばの成分が混在していることも考えられますから、商品の原材料、注意書きなどをしっかり確認するようにして下さい。
 アレルギーのない人が、食品に含まれるくらいのルチンを摂るのであれば、特に問題になることはないようですが、サプリメントなどで一度にたくさん摂ると、頭痛やほてりがみられることもあるようです。鉄の吸収が妨げられるとの報告もみられます。摂取後の体調の変化にも気をつけながら、表示されている摂取目安量を守って上手に活用するようにしましょう。

 いろいろなことがあった2007年も、まもなく終わります。来年が、心もからだも、すこやかな一年でありますように。