ショウガ(ジンジャー)

 小さいころ、憧れませんでしたか、お菓子の家。童話では、迷子になったヘンデルとグレーテルが、森の中をさまよっているうちにお菓子の家にたどり着いたことになっていますが、魔女が、ジンジャーをふんだんに使って子どもたちをおびき寄せたのではないか、という説もあります。
 ジンジャーブレッド、ジンジャークッキー、ジンジャーキャンディー。確かに食欲を誘うよい香りですが・・・まさかそんなところに利用されていたかもしれないなんて・・・。

 日本にも生姜糖のような甘いお菓子はありますが、お寿司にはガリ(ショウガの甘酢漬け)、牛丼には紅ショウガ、腹ペこの若者には豚肉のショウガ焼き、そして冷奴やそうめん、煮魚の薬味などなど。日本では普段の食事の中で、ショウガが大活躍しています。
 ショウガは熱帯アジア原産の植物。刺激のある独特の香りと味に加え、血液の流れを良くする、汗を出させる、消化を助ける、食欲を増進させるといった作用もあることから、漢方薬、一般用医薬品の胃腸薬やかぜ薬などにも配合されることが少なくありません(薬として用いる場合は、生姜と書いてショウキョウと読みます)。吐き気を抑える作用もあるといわれ、つわりのときの民間療法として、ショウガのしぼり汁を飲むとよいともいわれています。以前ハワイでクルージングに参加したとき酔い止めとして渡されたのも、ジンジャーのパウダーでした。
 かぜによい漢方の代表格である葛根湯にも、生姜が入っています。ゾクゾクと寒気がして、かぜをひきそうなときにおすすめです。汗をかきますから、こまめな水分の補給と、早めの下着・パジャマの交換を忘れずに。ただし、すでに汗をかいている状態のとき、体力が落ちているとき、かぜをひいて何日もたってしまったときなどは、葛根湯は向きません。薬局で相談して、そのときの症状にあったものを選んでもらうようにしましょう。
 また、ショウガは、血行促進作用をもつほか、血液凝固系にも何らかの影響を及ぼすことが報告されています。普段の食事の中で食べる程度であれば、問題はないと思われますが、血液を固まりにくくする薬剤の作用を強めることも考えられますので、このような薬を服用している人は、大量に摂取しないように気をつけて下さい。

 今は、一年で最も寒い時季。こんなときは、生姜湯を。200~300mLのお湯におろし生姜とはちみつ(黒砂糖でも可)を入れてひと煮立ちさせれば出来上がり。お湯を紅茶に代えてもよいでしょう。最近は、生姜紅茶が発汗や代謝を促進させるとしてダイエットによいといわれているようですが、ダイエットはともかく、女性の大敵でもある冷えの改善には役立ちそうですよ。