シソ(紫蘇)

 2月に入ったころから、天気予報に加わる花粉注意報。通常の天気予報の降雨予報などに加えて、花粉の飛散量を知らせてくれることが多くなってきます。気象予報士さんのコメントも「折りたたみ傘をお持ち下さい」「今日は洗濯物がよく乾きそうです」といったものだけではなく、「花粉症の方には、ひと安心の一日になるでしょう」「今日はつらい一日になりそうです。必ずマスクをしてお出かけください」といったバリエーションも。

 立体マスクや防護メガネ、メントールキャンディーなど数多くの花粉症対策グッズが並ぶ中で、数年前から、意外と健闘しているのが、シソを原料とした飲料水です。毎年、この時期になると買いに来られる方も少なくないところをみると、何かしらよい作用があるのかもしれません。
 シソは、日本人にとってなじみの深い植物の一つ。その葉は蘇葉(ソヨウ)、その種子は紫蘇子(シソシ)と呼ばれ、咳止め、熱さまし、利尿などを目的とした漢方薬にも用いられてきました。梅干しはいうまでもなく、食品の毒消しになる、胃の働きを助ける、食欲をそそる香りを添えるなどとしてお皿に添えられていることも多いですね。
 一般に「大葉」と呼ばれるのは、青ジソ。てんぷらされるのは、多くが、この青ジソです。それに対して初夏のころに出回るのが、紫ジソ。アントシアニン系の赤い色素を含み、酸と反応すると、鮮やかな赤色を呈します。
 栄養面では若干青ジソが、薬効の面では若干赤ジソがすぐれているともいわれますが、大きな違いはないといわれます。花粉症に対する有効成分については、まだ明らかされていませんが、おそらく、葉に含まれるロズマリン酸が大切な役割を担っているのではないかと考えられています。また、種子に豊富に含まれるα-リノレン酸には、抗炎症作用があるともいわれ、シソのエキスを配合した外用剤(クリーム)なども発売されています。
 シソは、食用としてきた歴史も長く、薬などとの相互作用についても、今のところ、問題になるような事例は報告されていません。ただし、これまではあくまでも主に薬味や色づけなどとして用いられていきたものです。それを大量に、高濃度で摂ったときにどうなるかは、「未知数」というのが現状です。体調の変化を感じたときには、早めに医師や薬剤師に相談するようにして下さい。

 今年の花粉飛散量は多めとか、昨年症状が出た方は、シソだけではなく薬による対策も早めになさることをお勧めします。