タウリン

 豆乳クッキー、豆乳アイス、豆乳プリン、豆乳ケーキ、豆乳ポタージュ、豆乳鍋・・・あちらでもこちらでも豆乳、豆乳、豆乳。1995年から2005年までの10年間で、日本の豆乳の消費量は10倍以上に伸び、日本人1人あたり1年間に約2リットルの豆乳を消費しているとの数字もあります。

 大豆イソフラボン、大豆オリゴ糖、大豆レシチンなど、大豆に含まれる栄養素は多彩で豊富ですが、大豆といえば、やっぱり蛋白質。かつては「大豆は畑の肉」とさかんに言われ、からだをつくるための蛋白源として重宝されました。
 もちろん、現在でもそのことに変わりはなく、1999年、FDA(アメリカ食品医薬品局)が、大豆蛋白質にはコレステロールを下げる働きがあることを認め、1食分に6.25g以上の大豆たん白を含む食品には、「1日25gの大豆蛋白質を、コレステロールが低い食事の一部として摂取すると、心臓病のリスクを減らすことができる。この★★★(製品名)1食分には○○gの大豆たん白が含まれています」と、このようなヘルスクレーム(健康表示)を認めています。生活習慣病の予防の面でも注目されるようになりました。
 日本でも、大豆蛋白質を関与成分としたさまざまな製品(豆乳、ヨーグルト、スープ、錠菓など)が、「コレステロールが高めの方に」とうたった特定保健用食品(トクホ)として発売されています。また、最近では、大豆蛋白質の中でも特にβ-コングリシニンという成分が、中性脂肪の低下に関係していることも知られるようになりました。
 大豆蛋白質は腸管内で、コレステロールの代わりに胆汁酸と結合することによってコレステロールの吸収を抑えるとされています。このため、脂溶性のビタミン(D、E、K)や医薬品(グリセオフルビン、イトラコナゾールなど)、経口避妊薬など、吸収の際に胆汁酸の働きを必要とする成分の吸収も抑えてしまうことがないとはいえません。経口避妊薬を使用している方は、特に注意が必要です。
 コレステロールや中性脂肪の低減作用が期待できるとされる大豆蛋白質ですが、薬の代わりにはなりません。医療機関ですでに薬剤などによる治療を受けている場合は、その薬をきちんとのむことが先決です。その上で、トクホも試してみたいという場合は、医師や薬剤師に必ず相談を。

 豆乳の消費量が増える一方で、飲み物としての牛乳の消費量は下降傾向を示しています。その背景にはさまざまなことがあるのでしょうが、特に病気のない方の場合、蛋白質は、動物性のものと植物性のものを半々ずつ摂ることが望ましいといわれています。何事も、バランスよく、ほどほどに。