プロポリス

 東京・銀座のビルの上で、養蜂が行われているという新聞記事を読みました。6万匹以上のミツバチが、ソメイヨシノやマロニエなどから蜜を集め、昨年は最盛期の3ヶ月間に260kgもの、蜂蜜が採れたそうです。

 ミツバチは、私たちにいろいろなものを与えてくれていますが、プロポリスもその一つ。ミツバチが集めてきた樹液などの植物成分と、ミツバチの分泌物が混ざってできたもので、ミツバチは、これを巣の入り口付近に塗って巣を補強、雨や風、雑菌などの侵入を防いでいると考えられています。
 プロポリスが抗菌作用をもつことは、古くから知られていたようで、古代ギリシャやローマの兵士たちは傷の手当てに、エジプトでは、ミイラの防腐剤に使っていたとも伝えられています。
 プロポリスの成分は、産地などによってその種類や量は異なりますが、主成分の一つとして挙げられるのが、フラボノイド類(ピノセンブリン、ガランギン、ピノバンクシンなど)。フラボノイド類は、抗酸化作用をもつことで知られるポリフェノールの一種で、細菌やウイルスなどの発育を抑える、炎症をしずめるといった作用をもっているといわれます。
 がんに対する作用も期待され、2002年、がん患者3000人を対象に行った厚生労働省の調査では、約4割の人が何らかのサプリメントを使用しており、そのうちの29%がプロポリスを使用していたという結果が出ています。
 “効果”があったとする声も少なくないのですが、残念ながら、科学的な裏付けは十分とは言えません。肝機能や腎機能に異常がみられたとの報告もありますから、摂取中は、体調の変化に十分気をつけ、「ちょっと変だな」と感じたときは、摂取をやめ、医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
 また、アレルギーを起こしやすいことも知られているため、ハチにアレルギーのある人、喘息のある人などは、使用は避けるようにして下さい。 プロポリスは、スキンクリームや化粧水、洗顔石鹸、歯磨き剤、のど飴などとしても用いられます。肌がしっとりする、風邪や虫歯の予防によいなどといわれる一方、使用した部位に湿疹やはれがみられたり、口の中が荒れたりすることもあるため、サプリメント同様の注意が必要です。

 「桜の木は、宴会のためにきれいな花を咲かせているんじゃないということを、ミツバチが教えてくれた」と、銀座での養蜂に携わっている人が言っていました。花より団子ならぬ蜂蜜・・・。ちょっと味わってみたいと思いませんか。