アサイー

 陸上短距離の末続慎吾選手、スピードスケートの岡崎朋美選手、タレントの水道橋博士、女優の長谷川理恵さん・・・フィールドの異なるこの方たちが、4月上旬、同じ授賞式に出席していました。アサイーの普及に功績があった人に贈られる、その名も「ベストアサイーニスト2008」。

 アサイー(アサイ)とは、南米アマゾン原産のヤシ科の植物。ワカバキャベツヤシという和名からは、ちょっと小柄で可愛らしい姿を想像してしまいますが、細身ながら高さ30m以上にもなり、1つ3~6kgにもなる大きな果実をつけます。
 その果実は、ブルーベリーに似た黒に近い紫色で、ブラジルやアメリカなどでは、そのままジュースにして、牛乳やヨーグルトなどと混ぜて、あるいはアイスクリームやゼリーなどにして食べられているようです。
 成分については不明の点もあるのですが、アミノ酸、ポリフェノール、アントシアニン、鉄、カルシウム、食物繊維など、さまざまな栄養素を豊富に含んでいるといわれます。疲労回復を助ける、体力増強に役立つ、栄養補給によいなどとして愛用している人も多いようです。日本でも、サッカーの日本代表選手が、アサイーを食べているところがテレビで紹介されたことをきっかけに、徐々に知られるようになりました。
 今のところ、アサイーそのものと医薬品の相互作用は知られていませんが、メーカーの広告などを見ると、「ポリフェノールはブルーベリーの約18倍、鉄分はレバーの約3倍、食物繊維はゴボウの約5倍」といった文字が躍っています。栄養価が高いことは確かなようですが、ミネラルや食物繊維は、薬剤の吸収を邪魔したり、遅らせたりすることも考えられます。
 アサイーのサプリメントの中には、興奮・強壮作用をもつガラナなどが加えられているものもあるようです。ガラナにはカフェインやテオブロミンが含まれ、摂りすぎると吐き気や頭痛、動悸、イライラ、不眠などの症状がみられることがあります。ある種の医薬品の作用に影響を及ぼすことも知られていますから、注意が必要です。

 「レモン○個分のビタミンC」「牛乳○本分のカルシウム」という文字を見ると、ちょっと心が動きますが、何事も多ければよいというものでもありません。