レイシ

 そろそろ佳境に入ってきた北京オリンピック。開幕前日の朝、聖火は万里の長城にありました。黄色い服を着た大勢の人と赤い国旗で埋め尽くされた城壁の上を、走りに抜ける聖火ランナー。黄色は皇帝を表す色とのことですが、万里の長城を造らせた始皇帝が、あの光景を見たらどんなふうに思ったでしょうか。

 史上初めて中国を統一した秦の始皇帝。強大な権力を手にした彼が、どうしてもほしかったのは、仙薬だったといわれています。仙薬とは、仙人がもっているとされる不老長寿の薬のこと。その中の一つに、レイシがあったと伝えられています。
 レイシを漢字で書くと、「霊芝」。いかにも不思議な力をもっていそうですが、別名のマンネンタケでは、その力もちょっと弱そうな感じ。キノコの仲間ですが、コルクのように固く、食用には適しません。
 このカサの部分を乾燥させて薄く削ったものを煎じてのんでいたようですが、実際にどのような効果があったのかといわれると、評価はあまり高くないようで・・・。レイシの存在自体が珍しく、なかなか手に入らなかったことから、イメージが膨らみ、必要以上に大事に扱われてしまったのかもしれません。光沢があって、形がよいものは、床の間や玄関先などに置物として飾られているのを見かけることもあります。
 現代になってからの科学的な分析や動物での実験では、血圧や血糖値を下げる、尿の量を増やす、血液を固まりにくくする、アレルギー反応を抑えるといった作用に関連したデータが報告されています。免疫力を高める、抗腫瘍活性があるなどともいわれ、がんによいのではないかともいわれています。
 レイシを含む食品や飲料なども販売されていますが、今のところ、ヒトでの効果や有用性を裏づけるものはまだないようですから、過度の期待を抱いたり、治療や服薬を中断したりしないように注意して下さい。
 血圧や血液の凝固などに影響を及ぼす可能性があるわけですから、降圧薬や抗凝固薬、抗血小板薬を服用している人、血圧が低い人、出血しやすい疾患・体質の人は、摂取を控えたほうがよいでしょう。

 スポーツで、経済力で、生産力で。中国の「4000年の歴史」と「13億人のマンパワー」のすごさを痛感させられることが少なくありません。それが、世界平和につながることを願っています。