バナナ

 「バナナが消えた!」。9月下旬の新聞に、こんな見出しがありました。今年の6月以降、スーパーのバナナの売上額は、軒並み約30%増。夕方には、バナナが売り切れてしまう状態が、続いているのだとか。少し前の、納豆売り場でこんな光景をみたような気もしますが・・・。 サプリメントのコーナーにも、バナナパウダー、豆乳バナナ、バナナヨーグルト、バナナのゼリー飲料、バナナ黒酢・・・。バナナ関連の商品が次々と登場しています。

 そのきっかけとなったのが、「朝バナナダイエット」。朝食は水とバナナ(何本でもOK)、昼食・夕食は普段通りに食べるという方法です。バナナに含まれる酵素が、脂肪の分解を促進する、果糖がエネルギー不足を補い、代謝を高める、食物繊維が便通を改善するなど、“バナナでやせる”とする理由はさまざまのようですが・・・。
 バナナ1本(可食部約90g)には、約20gの糖質(ブドウ糖、ショ糖など)が含まれています。ブドウ糖や果糖は速やかに、ショ糖やでんぷんはやや時間をかけて吸収され、エネルギーとなりますから、瞬発力と持久力が求められるスポーツには、適した食べ物ともいわれています。今年2月の東京マラソンでも、約6万本のバナナが用意され、ランナーに配られていました。
 ビタミンB群やC、葉酸などのビタミン類、カルシウムやマグネシウム、銅、鉄などミネラル類も豊富なバナナ。ダイエット目的でなくても、食欲がないときに、ちょっとお腹がすいたときに、仕事中のエネルギー補給に、上手に利用したいところです。
 ただし、バナナ1本には約320mgのカリウムが含まれています。カリウムは、ナトリウムの排泄を促し、血圧の上昇を抑えてくれることから、高血圧が気になる方には、果物や野菜などで積極的に摂っていただきたいのですが、ACE阻害薬やARBなどの降圧薬、カリウム保持性利尿薬、カリウム補給薬などを服用していると、カリウムの過剰摂取になることも考えられます。また、1本のカロリーは約77kcal。食べた後の血糖値が上昇しやすいという特徴もあります。
 朝バナナダイエットでは、「バナナは好きなだけ食べてよい」そうですが、服用中の薬剤がある人、食事に関して制限を受けている人などは、実行前に、必ず、医師・薬剤師に相談するようにして下さい。

 朝バナナダイエットの“効果”には個人差があるようですが、すぐにエネルギー源となるものを食べることで1日元気に活動できる、朝食を摂ることで生活のリズムができるというメリットはあるのかもしれません。