スクラロース

 最近、話題の「ゼロ系」。といっても、昨年、引退した新幹線のことではありません。ここ1、2年、急増している「糖類ゼロ」や「カロリーゼロ」の飲料やデザートなどのこと。それらの原材料の表示を見ると、甘味料としてスクラロースを使用しているものが実に多いことに気づきます。
スクラロースは、1998年に食品添加物としての使用が認可された新しい甘味料です。2006年には、医薬品の添加物(甘味剤、矯味剤)としての使用も認められました。

ショ糖(砂糖)を原料とし、ショ糖の3つの水酸基が塩素原子に置き換わったものです。砂糖とよく似た甘さをもち、人工甘味料にありがちな苦味や後味の悪さもあまり気にならないとのこと。砂糖の600倍もの甘さをもつことから「高甘味度甘味料」とも呼ばれています。食べてもほとんど吸収されず、しかも、カロリーは0! 
これが、メタボリックシンドロームを気にする私たちの気持ちとマッチしたのでしょう、カロリーゼロのコーラやコーヒー飲料をはじめ、ヨーグルトやゼリー、菓子、砂糖代替食品など、短期間のうちに広く利用されるようになり、消費量も伸びています。

従来から人工甘味料として使われているステビア抽出物、力ンゾウ抽出物には、特有の苦味・渋味があるが、スクラロースにはそれらがないこと。また、アスパルテームなどに比べると、中性やアルカリ性水溶液中でも、また加熱しても安定性が高いことが特徴とされています。
しかし、他の甘味料よりも食経験は浅く、長期にわたって摂ったときのデータがほとんどないのが実情です。仮に安全だとしても、「カロリーが低いなら、多めに食べてもいいだろう」と食べ過ぎてしまったり、「吸収されないなら、血糖値も上がらないだろう」と薬の服用や通院をおろそかにしてしまったり・・・ということがあっては困ります。
過度の期待は抱かずに、上手に活用したいもの。糖尿病や肥満の方の特別用途食品にも用いられていますが、治療を受けている場合は、主治医や栄養士と相談した上で使うようにして下さい。

今年は、ただの「ゼロ系」ではなく、カロリー、糖類・糖質、脂肪分、着色料、香料など、2~3個の項目がゼロの食品(トリプルゼロ)が流行するのではないかといわれています。
でも、砂糖も脂肪も、からだにとっては本来、必要なもののはず。極端に不足した状態が続くと、疲れやすい、手足が冷たい、肌の張りがなくなるなど、健康を損ねてしまうこともあります。悪いのは、食べ物ではなくて、摂り過ぎだということをお忘れなく。