ラクトフェリン

 北海道の新千歳空港で、各地のデパートの北海道物産展で、大行列ができる「花畑牧場」の生キャラメル。最近は、1日に3リットルのホエーを飲ませて育てた豚を使った豚丼やしゃぶしゃぶも人気だそうで、「焼いても口当たりがよく、ジューシー」と評判は上々だとか。

ホエーは、ミルク(牛乳、ヒトの母乳など)から蛋白質や脂肪分などの固形物質を取り除いた液体で、「乳清」とも呼ばれます。ヨーグルトのカップを開けると、透明な液が上に浮いていることがありますが、あれがホエーです。
牛乳からチーズをつくる過程でも生じ、かつては廃棄処分されていたのですが、水溶性の蛋白質やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれていることが知られるようになり、豚などの飼料として利用されるようになりました。

そのホエーに含まれているのが、ラクトフェリン。ラクトは乳、フェリンは鉄を意味する言葉で、名前の通り、鉄とくっつくことができる性質をもつ蛋白質です。哺乳類の母乳のほか、唾液、涙、血漿などにも含まれます。
特に出産後3~5日目ごろまでのヒトの母乳に多く存在することため、以前から、赤ちゃんの発育や感染予防に大きな役割を果たしていると考えられてきました。実験的にも、ラクトフェリンには、細菌や真菌、ウイルスなどが増えるのを抑えたり、免疫力を強めたりする働きがあることが確認されています。
母乳にはまた、赤ちゃんに安心感を与え、幸せな気持ちにさせる"幸せ物質"(多幸感誘発物質)が含まれているのではないかという研究も行われ、不安やストレスをやわらげる作用があることもわかってきました。確かに、おっぱいを飲んだあとの赤ちゃんの顔は、幸せそうですよね。

最近では、胃炎や胃がんとの関連が疑われるピロリ菌、C型肝炎ウイルスなどにも殺菌作用を示すのではないかともいわれています。実際の治療にあたっては、抗菌薬や抗ウイルス薬とラクトフェリンを併用することになるのではないかと考えられていますが、その方法はまだ確立されたわけではありません。現在、治療を受けている方は、指示された通りの服薬を続け、ラクトフェリンを試してみたい場合には、摂取前に、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。

昨年、ラクトフェリンに内臓脂肪低減作用があるとの発表もありました。あちらからもこちからも、さまざまな期待が寄せられるラクトフェリン。これがいつかより安全な薬につながっていったらと、夢が広がります。