難消化性再結晶アミロース

 珍珠女乃茶―これは、タピオカ入りミルクティーのこと。本場は台湾ですが、最近は、日本でも手軽に飲めるようになりました。「珍珠」は真珠の意味ですから、パールミルクティーと呼ばれることもあります。 ぷるぷる?もちもち?ぷにぷに?不思議な食感のタピオカですが、その正体は、キャッサバから採ったでんぷんです。

キャッサバというと、中学・高校の地理で習った記憶がある方も多いでしょう。暑さにも乾燥にも強く、やせた土地でも育つイモの仲間。熱帯地域での貴重な主食作物として、広く栽培されています。
そのキャッサバなどから得られたでんぷんに、ある酵素を作用させて得られたのが、難消化性再結晶アミロース(アミロースは、ブドウ糖が枝分かれをしないで長くつながったもののこと)。「食後の血糖値が気になる方」にすすめられる特定保健用食品の食パン(モーニングバランス・山崎製パン)にも関与成分として利用されています。

名前の通り、消化されにくい性質をもつことから、糖質として吸収されにくく、その結果、食事のあとにみられる血糖値の急激な上昇が抑えられると考えられています。メーカーによれば、このパンを1日2枚食べたとき、普通のパンに比べて血糖値の上昇が約15%抑えられたとのこと。治療するほどではないけれど血糖値がちょっと心配、という方には役に立つ食品といえるかもしれません。
ただし、カロリーは普通のパンと同じ。バターやジャムをたっぷりつけて食べると、カロリーだけでなく、脂肪分や糖分も摂りすぎてしまう可能性があります。また、たくさん食べたからと言って血糖値が下がるというわけではなく、おなかが張る、おならが出るなどの症状が出やすくなることも考えられます。摂取目安量を守って上手に利用しましょう。

今のところ、問題となるような薬剤との相互作用は報告されていませんが、血糖値や胃腸の状態などに何らかの影響が及ぶことも否定できません。すでに糖尿病と診断され、治療を受けている人は、医師や薬剤師と相談した上で摂るようにして下さい。

キャッサバは、近年、バイオエネルギーの原料としても期待されているそうです。温暖化対策はもちろん大切ですが、キャッサバを貴重なエネルギー源としている人たちにも十分な配慮を望みたいところです。