高濃度酸素水

 貧酸素水塊の流入で、アサリが大量死する被害が起きている諫早湾に、高濃度酸素を含む海水を注入する実験を行う―先日、こんなニュースがありました。貧酸素水塊とは、文字通り、水中の酸素量が極めて不足している状態。海水の汚れや水温の上昇、水の流れの滞りなどが主な原因とされ、魚類は泳いでその水域を避けることができますが、貝類は動けないため、"酸欠"状態に陥り、被害を受けやすいとされています。

酸素カプセル、酸素バー、酸素水など、最近、酸素を"売り"にした商品が人気です。「大気汚染の影響で、空気中の酸素濃度が低下している。だから、人間にも酸欠のおそれが!」などといわれると、そんな気もしてきますが・・・。
酸素は私たちが生きていくために不可欠なもの。赤血球中のヘモグロビンによって細胞の一つ一つにまで運ばれ、からだの正常な働きや活動を支える源となります。
酸素が不足すると、息が苦しくなるだけでなく、手足のしびれ、頭痛、吐き気、倦怠感、思考力・集中力の低下などさまざまな症状がみられます。そんなところから、酸素を摂取すると頭がすっきりする、病気やケガ、疲労の回復を助けるなどといわれているのかもしれません。

酸素水(高濃度酸素水、酸素強化水)は、通常よりも多くの酸素を溶かし込んだ水のこと。通常の7倍、15倍の酸素を含むとした商品もあり、運動能力が向上する、代謝がアップしてダイエットにつながるなどといわれることもあります。 しかし、酸素水はあくまでも飲料水の一つであり、これらの"効果"も実証されているわけではありません。水に溶け込んでいる酸素のうち、どの程度が吸収され、体内で働いてくれるのかも不明です。「酸素水を飲んだら、元気が出た」という声は少なくないようですが、精神的な要因が大きいのではないかともいわれています。

でも、暑くなるこれからの季節、水分補給のために飲むにはいいかもしれません。酸素は温度が高くなると、どんどん抜けていってしまいます。保存は低温で。ふたを開けたらなるべく早く飲むようにしましょう。また、カルシウムやマグネシウムなど、ミネラルを豊富に含むものもあるようなので、薬を服用するときの水としてはあまり適していないかもしれません。
酸素水に対する過度の期待は避けたほうがよさそうですが、あるコンビニチェーンでは、酸素を多く含む水で育てた国産うなぎを使った「炭火焼うな重」を販売するそうです。これは、ちょっとおいしそう。