トレハロース

 汗をかいてもサラッとしているシャツ、ひんやりした寝心地のシーツや抱きまくら・・・。暑い夏を、涼しく快適に過ごすためのさまざまな商品が登場しています。冒頭のシャツや寝具の秘密は、「トレハクール」という新素材。これは繊維にトレハロースを結合させたもので、熱伝導性(温度が高いほうから低いほうへ移動すること)が高く、保水性、速乾性にもすぐれているとして注目されています。

トレハロースは、ブドウ糖が2つ結合したもの。きのこや酵母などに多く含まれ、砂糖の半分程度の甘さを持っていますが、その利用は単なる甘味料だけにとどまりません。 干し椎茸は、水につけるとふっくらした元の状態に戻ります。これは、椎茸中に存在するトレハロースが水分を引きつけやすく離しにくい性質をもち、乾燥状態でも細胞が破壊されないように守っているためと考えられています。
こうしたことから、冷凍食品の品質向上、魚や肉のドリップ(体液)防止、野菜の鮮度保持、フリーズドライ食品の湯もどりの改善、麺類のゆで時間短縮、餃子やしゅうまいの皮の乾燥防止、かまぼこの食感改良など、さまざまな目的で利用されています。さらには、よい香りを保持し、いやなにおいを防止する働きもあり、加齢臭対策にも役立つのではないかとして注目されているとのこと。
トレハロースが単独でサプリメントとして用いられることはあまりないのですが、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの溶解性を高めて吸収を助けるほか、ポリフェノール類がもつ抗酸化作用の維持、ビタミンCの安定性向上などのために加えられていることも多いようです。

甘味の少ない低甘味料としても注目されていますが、体内ではブドウ糖に分解され、吸収されます。このため、エネルギー量は1gあたり約4kcal。これは砂糖とほぼ同じで、低カロリー・低エネルギーというわけではありません。甘味が少ない分、たくさん摂ってしまうこともあるかもしれません。特に糖尿病などで糖分やエネルギーを制限するように指示されている方は、砂糖の代わりとしての利用には適しません。砂糖代替甘味料をお使いになるときは、念のため、医師・薬剤師、栄養士に相談して下さい。

温室効果ガス削減のために、エアコンの温度設定は28℃に―。わかっていても、意外と暑い28℃・・・。猛暑、酷暑の日が少ないことを祈るばかりです。