ビルベリー

 似て非なるもの。この季節なら、そうめんと冷麦。どちらも小麦粉と塩水が材料ですが、そうめんは油を塗りながら細く延ばしていきますが、冷麦は油を使わず、打ち延ばしてから細く切ります。JAS規格では直径1.3mm未満がそうめん、1.3mm以上1.7mm未満が冷麦。小さいころ、1束に2、3本入っているピンクの麺がうれしかったものですが、あれはそうめんだったか、冷麦だったか。

ビルベリーとブルーベリーもそんな関係かもしれません。どちらもツツジ科スノキ属。同じものとして扱われることも多いのですが、ビルベリーが北欧や北米でみられる野生種であるのに対して、ブルーベリーは生食用として栽培されることが多い品種改良種。
ビルベリーが実をつける夏、原産地の北欧地方は、白夜の時期を迎えます。ほぼ1日中、降り注ぐ紫外線からわが身を守るため、ビルベリーは果皮を厚くし、抗酸化作用をもつアントシアニンを大量に作り出すようになったと考えられています。
そのため、ビルベリーは、ブルーベリーの3~5倍のアントシアニンを含んでいます。しかし、日本ではブルーベリーのほうがよく知られ、音の響きもよいことなどから、ビルベリーを原材料としているサプリメントでも、「ブルーベリー」という商品名で販売されていることもあるようです。

アントシアニンには、さまざまな種類があり、その働きもさまざまですが、最もよく知られているのが、目に対する作用。目の網膜にあるロドプシン(光を感じる蛋白質)の合成を促して、疲れ目で一時的に落ちた視力を回復させると考えられています。また、目の毛細血管を丈夫にし、血流をよくすることで、目のかすみや疲れをやわらげるともいわれています。
サプリメントの摂取目安量の範囲、ジャムやジュースなどで通常食べる程度であれば、問題になることはないと思われますが、一度にたくさん摂取すると、下痢や軟便がみられることがあります。また、血液を固まりにくくする作用もつ薬剤(ワルファリン、アスピリンなど)の作用を強める可能性もありますから、継続して、大量に摂取することがないように。摂取前には念のため、医師・薬剤師に相談して下さい。

アントシアニンが目にいいと言われるようになったきっかけは、ブルーベリー好きだったイギリス空軍の兵士。夜間や明け方の飛行でも、彼だけは「視界良好」だったことから研究が始められたと伝えられています。でも、実は、高性能レーダーの存在をカモフラージュするため、イギリス軍が流した情報ともいわれています。でも、火のないところに煙はでませんから、やはり目に対する作用は期待できるのでは。